私が出会った1冊の本
2001.11.1    兵庫県立図書館 調査相談課
 10月27日から読書週間が始まっています。今回は「読書の秋」にちなんで兵庫県立図書館調査相談課職員がこれまでに出会った本の中から特に心に残った一冊、感動した一冊を皆様にご紹介させていただきます。秋の夜長にいかがでしょうか?
書      名 著  者  名 請 求 記 号 出 版 社 刊年
人生論ノート 三木 清 121.9 /54 創元社 1941
 大学受験を控えたとき、自分の存在や行き方について考えさせられた。 「旅について」や「孤独について」などは、読みやすく奥深いものだった。中・高生にぜひ読んでもらいたい。
方法序説 デカルト 135.2 /19 岩波書店 2001
 近代フランス精神のモデルを示すとさえ言われるこの作品は、学問の方法から新しい科学の一端、形而上学の基礎までも述べる。学生時代、課題として読んだ忘れられない小部だが難解な1冊。        
気くばりのすすめ  正・続 鈴木 健二 159 /83 講談社 1982
 現代人に不足しがちな気くばりの効用とその技術をといた本。人間関係が希薄な今の時代にぴったりの1冊。      
般若心経 般若心経・金剛般若経 中村元・紀野一義 183.2 /11 岩波書店 1983
 神仏に関係無くどこででも唱えられる「般若心経」、わずか二百七十六文字の中に生きることの道しるべがあるように思われる。今はなき高田好胤師のお言葉を借りると「とらわれない心、偏らない心、こだわらない心、広く広くもっと広く、般若心経空のこころなり」ということでしょう。「色即是空」今一度考えてみませんか?
カビ博士奮闘記 宮治 誠 491.7 /101 講談社 2001
 カビにとって日本は天国だ。カビは必ずしも人間の敵とは限らない。カビのミラクルを平易で面白く綴った読物。    
沈黙の春 レイチェル・カーソン  615.8 /135 新潮社 1987
 レイチェル・カーソン著1962年刊。科学的な調査研究をもとに、殺虫剤や農薬などの科学物質による環境汚染をはじめて本格的に取り上げ、野生生物や自然生態系への影響、人間の胎内での濃縮、次世代に与える影響にまで警鐘を鳴らした書。この本をきっかけにDDTの全面禁止など化学物質規制が大きく前進、世界の環境問題啓発の歴史的な礎となった。  
森の惑星 稲本 正  650.4 /23 世界文化社 2001
 森は水を浄化し循環させる。したがって、地球は「森の惑星」だと著者は言う。世界の森を旅した記録。
ファストフードが世界を食いつくす エリック・シュローサー 673.9 /252 / 草思社 2001
 食の安全や健康や従業員を切り捨てて、画一的な味で食文化をもこわす。その代償はだれがはらうのか。
平家物語 弓削 繁 913.43 /152 古典文庫 1997
 知盛と教経の男っぷりの良さは、最後の台詞に表れている。「見るべき程の事はみつ。いまは自害せん」「さらば己ら死途の山のともせよ」<−イカス−ツ、泣ける-ツ!!>平和なときには彼ら平氏の中でも浮いていたのだろうなア。武骨系でそこがステキ!!
山月記 李陵・弟子・山月記 中島 敦 913.6 /107 / 旺文社 1967
 人間嫌いの李徴が、生活のため下級役人となり田舎町で虎に変身する話。自分に才能が乏しいのを知りつつも夢を捨てきれなかった男の切なさと生活のために見下していた人の下で働かなければならない葛藤のなかで、自己の内面に潜む獣「虎」に変身してしまう。人生とは、生きるとは何かを考えさせられる。就職を控えた人たちに読んで欲しい。
とはずがたり    とはずがたり全釈 呉竹同文会  915.4 /13 / 風間書房 1978
 個人から分離し商品化される性。肉体を見下ろす自我。現代に通じすぎて怖い。リアルでシビアな宮廷絵巻。
きけわだつみのこえ 日本戦歿学生記念会 916 /12 / 東京大学 1974
 心ならずも国のため、守るべき人たちのために、自らの命を犠牲にした学生たちの手記。人は何のために生きるのか誰のために死ねるのかを考えさせられる。死を目前に迎えた若者の生命の声が強く胸を打つ。平和な時代の今こそ若者にぜひ読んで欲しい。平和の尊さをかみしめて欲しい1冊。
源氏物語 上 ・下 紫式部 918 /19 河出書房 1960
 登場人物も多く、物語も長いが平安時代の生活が手に取る様にわかり、とても楽しい。与謝野晶子の訳が特にいい。
燃えよ剣 司馬遼太郎全集 6 司馬 遼太郎 918.68 /335 /6 文芸春秋 1977
 「疲れていますからね」ラスト近くのこの台詞を読むたび、何度でもたまたまパッと開いたぺージがそこだっただけでも爆涙な私。(バカすぎる)何がそこまで泣きのツボなのか今もって謎ですが、あの恐ろしい土方さんをからかって遊べる沖田さんの、そういう二人の在り様が死ぬほど愛しいせいかもしれません。私にとって、キングオブ司馬本です。
心 漱石全集 第9巻 夏目 金之助 918.68 /347 /9 岩波書店 1994
 最初、どこか人生をあきらめているような「先生」に対してなぜなのだろうと思い、その後の告白を読み、このような人生を自分も送れるのだろうかと自分のこれからについて考えさせられた1冊。
テンペスト シェイクスピア 8 ウイリアム・シェークスピア 932 /103 /8 講談社 1989
 イギリスの文豪シェイクスピアの最後の作品。ロマンス劇として完成された作品。嵐のあと、ファーディナンド王子とミランダ姫が出会う場面は感動的。
シャーロック・ホームズの冒険 アーサー・コナン・ドイル  X1 /32 /249-1 岩波書店 1936
 探偵物の最高峰だと思う。多くの研究、解説書が現在でも多数出版され、「シャーロッキアン」という単語を生み出すなど、まさに探偵物としての最高傑作。特にここに収めめられている短編はトリック、解決の鮮やかさ、ともに珠玉の作品ばかりである。