兵庫県図書館協会報 No60(1999.3.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「日々のはじまり」青垣町学びの館 足立容子
    2. 「10ヶ月」高砂市立図書館 四方亮介
    3. 「3年目を迎えて」西宮市立中央図書館 田中良紀
    4. 「私の選書」神戸市立中央図書館 本田明香

洲本市立図書館を開館するにあたって
洲本市立図書館長 広岡克哉
 洲本市立図書館の歴史は、大正5年に開館した伝統ある図書館であり、位置・規模を幾度も変え、地域の文化と伝統を生かしながら図書館サービスを行ってきました。
 淡路島では1988年に津名町が先駆的な役割を果たす図書館を開館し、つづいて三原町・南淡町・東浦町と島民に対し充実したサービスができる図書館を設置してきました。洲本市も将来淡路島(現在1市10町)が統一した時を想定し、その中央図書館と成るべき機能を持った図書館を昨年9月に開館しました。
 最近設置された図書館はそれぞれの自治体の規模を考えず、住民に過剰なサービスをするための付加価値のありすぎるものが多いように思います。有識者(責任を取ってくれない)の言っている理想は理想として、それぞれの自治体の規模を認識し、数年後図書館の職員を苦しめる結果とならないような図書館を作るべきだと考えます。全国的に有名な日野市立中央図書館(東京)・浦安市立図書館(千葉県)・朝霞市立図書館(埼玉県)を見てみれば、過剰なサービスをせず最低限のサービスを確実にやっていることが、市民に対する最大のサービスとなっていることに気づきます。
 これらのことを踏まえ、洲本市立図書館は時代の流れとは逆行するかのごとくAV機器やコンピュータの設置を極力省き、人間らしい営みの一つである「読む」ことをコンセプトに、洲本市の規模に相応したサービスのできる図書館にしました。最大収納24万冊(開架12万冊、閉架12万冊)可能のスペースと子どもたちを対象にしたお話しの部屋、読書会・研修会等のできる三つの会議室、視覚障害者対象の対面朗読室、読書で疲れたらホッと一息つけるような安らぎを味わえる二つの中庭を設け、出来るかぎりの読書空間をつくりだしています。また、新図書館の外観は、淡路の近代産業のシンボルといえる旧紡績工場の煉瓦建造物を生かし、隣接する工場跡の塵突・美術館・レストランなどと調和を図っています。そして、島民に親しまれる図書館をめざし、子どもからお年寄りまでが快適な雰囲気で本が読めるような施設構成や配置・空間づくりなどで様々な面での工夫を凝らしています。今後は淡路における生涯学習の中心施設とし、「まちづくり」「ひとづくり」の推進を図っていきたいと考えております。
 最後になりましたが、開館にあたりご協力いただきました兵庫県下の図書館関係者の皆様に感謝申しあげます。
目・耳・心・手
「日々のはじまり」
青垣町学びの館 足立容子
 学びの館に本好きの人を笑顔で迎えては送り出す私の生活が始まりました。少しでもくつろげて、静かな落ち着いた空間を味わっていただこうと心掛けています。季節の花を葛の籠に生けたり、お天気の日には、西向きのドアを開けて、初夏にはねじ花の咲く庭から穏やかな暖かい風を入れたりします。細かい沢山の業務に追われる日々ですが、人と本をつなぐ仕事をさせてもらっていることに責任も喜びも感じるこの頃です。
 さて、「だれもが、いつでも学べる」生涯学習の殿堂にしようという願いで、昭和62年秋に木造洋館二階建て旧役場庁舎を当地に移築し町立「学びの館」がオープンして以来、小さいながら町民に親しまれ、蔵書も28,000冊を越えるまでに成長してきました。土日、祝日代行勤務のボランティアメンバーに支えられつつ温かく人と人との交流の場として育ち、愛されてきた十余年でした。今後は、情報処理の近代化の中、更に利用されやすく、仕事もしやすいシステム作りに取り組み、新鮮で息づかいのある、また、味のある図書館づくりに励んでまいります。ご支援下さい。

「10ヶ月」
高砂市立図書館 四方亮介
 初めまして、まだ働きはじめて10ヶ月の新米司書です。
 昨年は図書館で本当にいろんなことを経験しました。司書の専門・非専門的業務を問わず、カウンターやレファレンス、選書、ブッカー掛けから講座の司会や請求書の処理、蔵書統計などの事務まで覚えていないぐらいありました。特に力仕事は日常茶飯事でした。今も仕事と利用者に追われながら、頑張っているところです。
 ただ、図書館の電算化が遅れているので、利用者には未だに名前を言って貸出・返却をしてもらっています。もちろん、サービスや設備などの面からすれば遅れているのは十分に理解していますが、電算化する以前の司書の苦労を身をもって体験できるのは貴重な経験ではないかと考えています。
 急ぎ、電算化や新館建築を実現するよう、職員全員が日夜努力していますので、みなさん応援よろしくお願いします。
 

「3年目を迎えて」
西宮市立中央図書館 田中良紀
 今年の4月で、公務員となってまた当館にお世話になって3年目を迎えます。この2年はあまりにも早すぎました。公共サービスとしてふさわしい業務を追求する必要性を感じつつ、何もできていない自分にもどかしさを感じている毎日です。このままの状態で惰性に流されてしまい、精進を忘れてはいけない。今一度、初心にかえり発奮すべき時と肝に銘じております。
 さて、西宮市立図書館では、昨年利用者端末を導入しました。タッチパネル方式で図書の他にAV資料も検索でき、図書館からのお知らせも画面に表示されます。利用者自身が図書館の資料を探せることは、図書館を気軽に利用してもらえることにつながります。子供の利用も比較的多く、喜ばれていると思います。
 それでも学生時代の友人などは図書館に限らず公共期間に手厳しい評価を加えます。ちょっと待てよと思うこともありますが、大半はその通りと思ってしまいます。厳しい評価を謙虚に受けとめる姿勢と変革へのたゆまぬ努力だけは忘れたくないものです。

「私の選書」
神戸市立中央図書館 本田明香
 私は、児童書の選書をおもにやっています。なるべく現物を手にとって、内容を確認するように心がけています。
 そこで、まずは見計らいで図書館にきている本を確認。さっと目を通すつもりが、つい読みふけってしまうこともあります。これ、おはなし会に使えるなあ、なんてチェックを入れたりもします。
 これで確認できない本は、書店に見に行きます。しかし最近は、児童書の売り場が改装で縮小されていたり、売れ筋の本が大半を占めていたりで、お目当ての本を見つけるのも難しくなってきました。
 最後の手段は、インターネット。TRCの新刊書籍検索や出版社のホームページで調べます。本の顔である表紙の画像や紹介文を見て、購入するかしないかを判断しています。
 選書は図書館員の力量が問われると思うので、いつも利用者のニーズを意識し、また図書館の蔵書構成に気を配りながら、楽しんで作業しています。
ひめじ読書友の会 紹介
姫路市立城内図書館 石田裕子
 ひめじ読書友の会は、姫路市立城内図書館を事務局に23グループ、約200名で構成されています。
 普段の読書会活動は、グループ毎に市内各地の公民館や図書館等の一室で、主に月1回、テーマ(課題図書)についての感想や意見交換をしています。古典を読むグループや純文学を読むグループなど、グループ毎に特徴があります。
 その他の活動としては、年に数回、全会員による合同読書会を行って交流を深めたり、作家による文学講演会や会報『鷺の苑』の発行、文学旅行などもしています。これらは、23グループの中から輪番で旅行委員、編集委員、運営委員を出してもらい、企画から実施までを行います。
 事務局は案内状の取りまとめやお金の出納といった裏方をしていますが、現在読書会の会員の方の年齢は60代〜80代が中心となっているので、これからは若い世代の会員が増えればいいなと希望を持ちつつ働きかけています。
「トライやるウィーク」を受け入れて
尼崎市立中央図書館長 藤原英一郎
 本年度から県教委が新たな試みとして実施したトライやるウィーク。これを知ったとき、私たちは図書館として積極的に受け入れるべしとしました。また、阪図協でも研究集会のテーマのひとつにしました。
 尼崎市では7中学校(中央4校、北3校)から人を受け入れました。実習内容は、カウンター、配架、BM、公民館図書室、本の装備、こわれた本の修理、レファレンス(図書館での資料の調べ方)、図書館周辺の清掃等です。
 私は学校へのアンケートに次のように書きました。
 "…生徒はよく頑張りました。このトライやるウィークを通して図書館のことを学んでくれ、「将来に役立つ」「図書館に行きたい」と素直に感想を語ってくれたことに、受入れてよかったと思っています。この体験を良き思い出として今後に生かしてほしいものです。なお、受入れ側としては指導内容をより工夫したいと考えています…"と。
 効果的な指導内容は、今年度の取り組みを振り返り、また各図書館とも意見交換して、そこからより良きものを生み出していきたいものです。
平成10年度播但図書館連絡協議会第1回研修会
岩田美津子氏講演『図書館とわたし』
香寺町立図書館長 杉岡和弘
 本年度の播但図書館連絡協議会の研修テーマは、「障害者サービス」を取り上げました。中・小規模の図書館が多いこの地区で、障害者サービスの可能性やその重要性を再確認したいという研修委員の希望からです。
 第1回研修会は、平成10年10月16日、姫路市立城内図書館において、点訳絵本ふれあい文庫を主宰されている岩田美津子さんを迎え、「図書館とわたし」と題して、健常の子を持つ視覚障害の母の立場から本とのかかわり方や、点訳絵本、ふれあい文庫についてお話を伺いました。
 彼女は自分の子供に絵本の楽しさを味わって欲しいと、近くの図書館に通い、彼女にかわり職員から絵本を読んでもらっていた。そしてその職員のすすめもあって、絵本に透明点訳シートを貼った点訳絵本と出会い、以後点訳絵本を通じて自ら絵本の読み聞かせを続けていった。自宅の点訳絵本は、プライベートサービスによって増えていき、彼女と同じ悩みを持つ視覚障害の母親に点訳絵本を貸し出したいと、ふれあい文庫を開設。行政に働きかけ、郵送料が無料に認可され、この郵送貸出によって全国的に文庫活動されているそうです。また、福祉放送のパーソナリティーとしても活躍されていて、『岩田美津子の絵本探検』(JULA出版局)の著著でもおなじみのように、絵本作家との対談が好評だそうです。点訳絵本では、『ちょきちょきちょっきん』(こぐま社)が出版され、購入することができます。
 障害の有無にかかわりなく本を待つ人へ本を手渡すことの大切さや、図書館に求められているサービスを健常の立場だけでなく、さまざまな視点で再度見直す必要性を感じました。またなにより、岩田さんの屈託のない人柄や精力的な活動に触れ、障害を持つ人を目の前にし、しり込みをしている聞き手自らの心を見抜かれた気がしました。
平成10年度図書館設置促進事業「図書館・公民館職員研修会」
 兵庫県教育委員会の委託により中央及び地区別に6回の研修会を実施し、のべ147人の参加者があった。
 これは、県立図書館の機能の充実とネットワークの推進、そして未設置町の解消と既設図書館の整備充実をめざした施策の大きな柱として実施された。
 県内の図書館設置状況は21市に48館(設置率100%)、70町のうち22町に23館(同31%)で、まだ48町には身近に利用できる図書館がないのが現状だ。一番身近な市町立図書館の窓口が住民から遠ければ、せっかくの蔵書やサービスの資源が活かされないことになる。
 ぜひ早期の図書館設置そして充実を願い、また今後とも各加盟館のご協力・ご助言をいただきたい。
 研修会の概要は以下のとおり。
○第1回中央研修会(9月11日 兵庫県立図書館)
 『家具とレイアウトで図書館を生き生きと』
図書館と子どもの本の研究所 代表 平湯文夫氏
 佐賀県三日月町の図書館を紹介しながら、本が主人公となる使いやすい図書館の家具やレイアウト、サイン等のあり方を具体的に研修した。学校図書館等の小スペースを魅力的にリメイクする方法や参考になる図書も紹介。(参加者33人)
 魅力ある図書館はやはり資料で勝負、と図書だけでなく雑誌や視聴覚資料にも意を用いた選書を紹介。定期的な映画会やお話し会などの行事も充実して利用者を惹きつける。館内を見学中にも高齢の男性がロビーのピアノを弾いており、図書館利用が定着している風が感じられた。(参加者12人)
○東播磨地区研修会(9月17日 小野市立図書館)
『魅力ある図書館の運営をめざして』
小野市立図書館 次長 多鹿貴久氏
○西播磨地区研修会(10月7日 香寺町立図書館)
『小さな町の図書館づくり』
奈良県 川西町立図書館長 益田忠夫氏
 建設準備にあたって住民の意識調査を活用。公民館図書室は中途半端なサービスで図書館への期待を受け止められなかった歴史を反省。『図書館はくらしの元気』をモットーの選書・運営の実際を伺った。(参加者15人)
○淡路地区研修会(11月12日 洲本市立図書館)
『図書館建設の理想と現実』
洲本市立図書館長 広岡克哉氏
 歴史的景観と煉瓦の建築を活かし、そして本当に必要な図書館サービスは何かを絞りこんだ図書館設計。書架の細部まで理想を追求した設計理念とその成果を現場で詳細に伺った。戸外と一体化した読書空間が魅力的だ。図書館づくりは誰にとっても初めての経験であるが、後で悔いのないようにいい図書館を見学すること、そしてその際や業者との打ち合せなどではじっくり時間をかけて納得するようアドバイスがあった。(参加者28人)
○但馬・丹波地区研修会(11月25日 和田山町公民館)
『くらしに根づいた町立図書館のサービス』
滋賀県 甲西町立図書館司書 井上勝氏
 設置後10年を経てなお高い利用率を誇る甲西町では、町の生涯学習の中心が図書館である。求められた本を確実に届けることを基本に、展示や講演会、ライブラリーコンサートなどあらゆる機会を使って、図書館から文化事業を発信しているようすをスライドで紹介。図書館がくらしの中に定着し、リピーターが育っていることが窺われた。
 併せて和田山町立図書館を見学。(参加者28人)
○第2回中央研修会(12月18日 兵庫県立図書館)
『本・ひと・まち・文化―『図書館の任務と目標』を図書館づくりに活かす―』
日図協政策特別委員・大阪府熊取町立熊取図書館長 小谷恵子氏
 熊取町の図書館建設では、基本計画から基本設計の段階から住民への説明会や懇談会を繰り返し開催した経験を紹介。また、書架づくりの大切さ、児童サービスを核にした運営、全域サービスの重要性について伺った。ブックトークやお話により本と利用者を結びつける術などの実演もいただいた。(参加者31人)
(兵庫県立図書館 熊野清子)
協会からのお知らせ
図書館の新設等の動向
平成11年度開館予定

 ・豊岡市立図書館(移転新築)4月24日(土)開館
 ・明石市立図書館 西部分館 魚住に複合施設 秋季
平成12年度開館予定
 ・市川町(新設)文化センターとの複合施設 春季
平成13年度開館予定
 ・揖保川町(新設)文化福祉総合会館との複合施設
 ・佐用町(新設)文化情報センターとの複合施設