兵庫県図書館協会報 No.61(1999.9.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「南分館」での7年」伊丹市立図書館南分館 篠原恵理子
    2. 「一期一会」津名町立図書館 鳶巣仁美
    3. 「まわりに本がない…」市川町文化センター準備室 大西美奈子
    4. 「10年目を迎えて」三木市立図書館 白髭和子

市民と共に育つ図書館をめざして−開館から4ヵ月が過ぎて−
豊岡市立図書館長 橋本しげみ
 新豊岡市立図書館は、この春4月末に豊岡市京町に移転新築してオープンしました。
 豊岡の市街地のほぼ中央に位置し、豊岡城址のある小高い神武山の麓に緑を背景に建っています。正面には旧豊岡県庁の門が修復され、蔵をイメージした館と共に『歴史と文化の香る』と市民の方々に評されています。敷地は武家屋敷の跡地であり、従来そこにあった井戸を図書館の中に残すという大変めずらしい工夫がされています。6月には兵庫県建築士事務所協会より「第4回くすのき建築文化賞・まちなみ賞」を受賞しました。
 建物は地下1階、地上2階の2,800u。1階南側に児童コーナー、東側に一般閲覧室を配し、窓辺のブラウジングコーナーでは、市民の方々が三々五々新聞や雑誌などに目を通し、くつろいでいらっしゃる姿が見られます。
 現在の蔵書は一般図書の他に、CD・ビデオ・音訳図書・点字図書・マイクロフィルムなど計82,000点。収蔵可能冊数は約15万冊です。
 施設の面ではおはなしの部屋、工作交流室、研修や読書会のための大小会議室、対面朗読室、録音・点訳室を備え、門から玄関まで視覚障害者のための音声誘導装置が設置されています。
 AV機器やコンピューターも導入され、取り扱う情報の形態もさまざまに、またサービスのあり方も多様になりました。時代の趨勢ではありますが、だからこそ「図書館の原点は何か」を今改めて模索している状況です。
 基本的サービスを着実に拡げていくと同時に、障害者サービスと児童サービスを重要な柱としています。「やさしさの図書館」を建設の基本の理念の一つとし、準備段階から障害のある方々のご意見をきき、施設面や資料面に取り入れてきました。開館以来、点字・音訳図書の貸出利用も順調で、宅配・郵送サービスを実施し、点訳ボランティア30名余り、市民参加の図書館としての一歩を歩み出したところです。
 毎週木曜日には幼い子のための読み聞かせ、第2・第4土曜日には季節行事を取り入れたりストーリーテリング中心のおはなし会をします。聞き手と語り手がおはなしの楽しさを共有し、絆を深め読書へとつなげていきたいと、おはなしボランティアの皆さんと力を合わせて取り組んでいます。
 ふと一息入れたい時、何か暮らしにヒントを得たい時、気軽に立ち寄れる図書館、人と本とが出会い、人と人とがふれあう図書館をめざし、一冊一冊の本を手渡す時に心と心が通い合う優しさの図書館でありたいと微力ながら職員一同力を合わせてまいります。
 建設にあたり兵庫県立図書館はじめ県下の図書館の皆様よりご懇切な教示を賜わりましたことに、この場を借りて心から感謝申しあげます。
目・耳・心・手
「南分館」での7年」
伊丹市立図書館南分館 篠原恵理子
 南分館は、伊丹市で初めての分館として平成4年4月にオープンしました。オープンからこれまでずっと南分館とともに過ごしてきましたが、図書館も私も少しは成長したのでしょうか。
 初めてカウンターに座って何もできずオタオタしていたオープンの日。司書といっても名ばかりで、どうやって本を選んだらよいのかわからないまま、発注作業に四苦八苦し、届いた本をなんとか受け入れて、新刊案内を作成していたあの頃…。当初3万冊の蔵書も少しずつ増えてきて、今では7万8千冊を超えました。
 小さな図書館では、何でも屋さんになることが必要です。『文化勲章のメダルの模様を知りたい』という質問から、『小学生に人気のある絵本を紹介して』といったレファレンスまで、カウンターに座ったら何を聞かれるかわかりません。(ハラハラドキドキです。)こちらの答えに満足していただいているでしょうか。
 情報氾濫の世の中で、何を取捨選択していけばよいか難しいですが、利用者の方が今何を求めているのかに常に敏感でありたいし、これからも《新しいことを吸収できる自分でいたい》と思います。

「一期一会」
津名町立図書館 鳶巣仁美
 今年の5月15日に、佐野小学校3年生18名が図書館見学にきてくれました。図書館の説明を聞いて館内を見学、おはなし会を体験して、本を借りて帰りました。
 後日、お礼の手紙と似顔絵が届けられました。見てビックリ! 題して「図書館ブラザーズ」。それは私達一人一人の特徴をよくとらえたそっくりの似顔絵だったのです。1時間たらずの見学のいつの間に?
 そしてこんな感想もありました。「ぼくはおとうさんがしごとなので、あんまり図書館へは行けません。でも3年生になって行けて、うれしかったです。」
 ふだん図書館へ行く機会のない子どもにとって、この図書館見学がその子の図書館観を決めると言っても過言ではありません。楽しく、面白いところだと思ってもらえるように、がんばらねばと思います。
 私達は常に見られているということを忘れないように、初めてカウンターにすわった日を思い出して、利用者一人一人に一期一会の心で接していきたいと思います。

「まわりに本がない…」
市川町文化センター準備室 大西美奈子
 市川町では、平成12年4月オープンをめざして、現在2名で図書館の準備を進めています。なにもかも初めてのことばかりですが、特に困ったことはまわりに"本がない"ということです。(市川町には公民館図書室もありません。)図書館で働いていた頃には、当たり前のようにすぐ手の届くところに本がありました。しかし、今はちょっと調べたいと思っても、わざわざ町外の図書館まで行かなければなりません。今更ながら図書館のありがたさをひしひしと感じています。
 また、本に触れることもなく、悶々とした生活を送っていたとき、小学校から「おはなし会」の依頼がありました。2人とも子どもたちの前でおはなしをしたことはありませんでしたが、即OKしました。町内6つの小学校の1〜4年生を対象に、おはなし・絵本・折り紙のプログラムを組みました。子どもたちの真剣なまなざしや「おもしろかった」という言葉をきいて逆に元気をもらった気がします。
 住民の方が待ち望んでいる図書館…。私も切に望んでいる一人です。

「10年目を迎えて」
三木市立図書館 白髭和子
 時がたつのは早いもので、図書館へ勤務して9年が過ぎました。
 東播7市10町の図書館が自由に利用できるようになり、利用者の方から「○○ではこういう事をやっていましたよ」「こういう事はやってもらえないの?」という話を耳にします。
 こんな話を聞いたり、返却された図書の中に他の図書館の返却期限票やお知らせなどが挟んであるのを見たりすると、「ああ、これはいい考えだな」と教えられる事も多々あります。
 昨年より雑誌の貸出も開始し、貸出冊数を10冊に増やしました。今年7月には、初めて図書と雑誌の無償配布を行い、大変多くの方に利用していただくことができました。また、来年1月にはコンピューターの更新を行い、OPACの台数を増やすなど利用者サービスの向上に努めていきます。
 これからも、固定した考えにとらわれず、一人一人へのサービスを考えながら、利用しやすい図書館を目指してがんばりたいと思います。

平成11年度図書館・公民館職員等研修会−図書館設置促進事業―について
兵庫県立図書館 熊野清子
 昨年度までは兵庫県図書館協会で委託を受けて実施していましたが、今年度より県立図書館の事業として生まれ変わります。
 地方分権の推進に伴ない、「土地の事情及び一般公衆の希望にそい」(図書館法第3条)図書館活動を進めることがいっそう求められています。
 そこで、図書館に関心のある一般県民も対象とし、サービスを提供する職員や行政担当者とともに図書館について研修をおこないます。またシンポジウムの開催により図書館についての理解を深めます。
 年間計画は次のとおりです。多数の参加をお待ちしています。
年間計画
研修会 期  日 会  場 講演等のテーマと講師
中央 10月21日(木) 兵庫県立図書館 生涯学習社会に対応した図書館網計画の立て方−全域サービスをめざして− 大阪芸術大学 教授 中村恭三氏
但馬・
丹有
11月18日(木) 豊岡市立図書館 蔵書整備の実際−出版流通の理解から配架まで−鳥取市民図書館 西尾 肇氏
西播 11月25日(木) 姫路市立図書館飾磨分館 暮らしに役立ち、潤いを与える図書館をめざして 滋賀県 多賀町立図書館長 村瀬 進氏
東播 12月2日(木) 兵庫県立嬉野台生涯教育センター 子どもの心を育てる図書館活動を求めて−読み聞かせを通じて本の楽しさを伝える−兵庫県立教育研修所 指導主事 笹倉 剛氏滝野町図書館長 直井 勝氏
淡路 2月17日(木) 洲本市立図書館 住民とともにつくる図書館活動−集会・行事のもち方、友の会・ボランティアとともに− 佐賀市立図書館長 千葉 治氏
シンポジウム 3月1日(水) 日本城郭研究センター(姫路市立城内図書館) シンポジウム「図書館づくりは町づくり」日本図書館協会町村図書館活動推進委員 小林是綱氏明石市教育委員会生涯学習課 原田安啓氏 ほか
平成10年度兵庫県図書館協会第2回研究集会
「障害者および高齢者サービスについて−枚方市立図書館における実践をふまえて−」
猪名川町立図書館 森 百合
 平成11年2月4日(木)、猪名川町立図書館において上記の研究集会が開催されました。講師には障害者サービスに積極的に取り組んでいる枚方市の山田図書館から岡室公平氏、楠葉図書館から服部敦司氏のお二人を迎え、お話しを伺うことができました。
 まず岡室氏より「障害者サービスの理念」と題し、障害者サービスとはどういうものかを枚方市の実践を交えながら講演していただきました。
 障害者サービスとは身体・視覚等に障害のある人へのサービスではなく、本来すべての住民にサービスをしなければならない立場でありながらそのような人たちへアプローチできていない図書館側に障害があり、それをなくしていくのが障害者サービスだということを認識しなければいけないということでした。
 『枚方市では、設備面等の不備な面を職員の意識面でカバーしている』という言葉には、あらためて自分自身の意識の無さを反省させられました。
 次に、ご自身が視覚障害者であり図書館員でもある立場から障害者サービスを実践されている服部氏の「枚方市立楠葉図書館の具体的な障害者サービスについて」と題しての講演を拝聴しました。サービスを受ける側と与える側、両方の立場が良く理解できることで、周囲から心強く思われ頼りにされる分、ご苦労が多いのではないかと思います。
 枚方市では、協力者という人たちの力を借りて点字図書や録音図書の製作と貸出をおこなっていますが、最近では高齢によって活字が読みにくい人へのサービスにも力を入れられているそうです。また、録音図書については、デイジィ(DAISY)やプレクストークといった新しいシステムについての話も伺いました。
 障害者サービスについてはわからないことも多く、日常業務の繁忙を理由につい忘れがちになってなかなか前へ進めずにいましたが、これから障害者サービスを考えていくうえで、今回の研究集会はとても有意義でした。
協会からお知らせ
全公図・兵図協からの表彰
平成11年度は次の方々が表彰されました。
全国公共図書館協議会表彰      (敬称略)
阪  建樹(神戸中央) 上原 良蔵(神戸中央) 野村 純弘(洲本・協議会委員)
兵庫県図書館協会表彰             (敬称略)
―永年精勤―
金城可津美(神戸中央) 川崎 清美(神戸垂水) 高橋千恵子(神戸須磨)
森重 洋子(神戸三宮) 田村 太郎(神戸兵庫) 小山千鶴子(神戸須磨)
開田 方子(神戸新長田) 北垣 健二(神戸東灘)
―功労顕著―
野村 純弘(洲 本)

平成11年度の役員紹介
会 長  今井 和幸(県立)
副会長  横山 邦也(県立)
会長職務代理者 中作 清臣※(神戸中央) 羽田登喜雄(三田)
松尾 洋一(加古川)

理 事
今井 和幸(県立) 中作 清臣※(神戸中央) 榎倉 執子(猪名川)
羽田登喜雄(三田) 松尾 洋一(加古川) 垣谷 忠彦(明石)
杉岡 和弘(香寺) 藤原 信之(姫路城内) 田中  實(和田山)
管  芳子※(洲本) 勝川 浩幸(氷上) 岡田 秀明(県議会)
 
監 事
中尾 健治※(芦屋) 橋本  保(稲美)
(※は異動による新任役員)

平成11年度予算 総額:1,681,748円
―予算の内訳―(主な項目)
通信連絡費 90,000
消耗品費 60,000
会議費 70,000
総会費 30,000
調査・情報活動費 119,700
研究集会費 160,000
会報発行費 173,250
表彰費 45,000
諸費  10,000
予備費 923,798
  
名称変更のおしらせ
新名称           篠山市立本郷図書館
新住所表示       〒669-2332 篠山市北新町48‐29
               (電話番号、FAX番号は変更なし)
新規加入館の紹介
○福崎町中央公民館図書室 (代表:館長 高岡章三)
               〒679‐2212 神崎郡福崎町福田176‐1
Tel 0790‐22‐3790 Fax 0790‐22‐2561
○佐用町企画振興室      (代表:室長 福井 泉)
               〒679-5380 佐用郡佐用町佐用2611‐1
               Tel 0790‐82‐0664 Fax 0790‐82‐0131
○山南町中央公民館     (代表:館長 小谷敏雄)
              〒669-3131 氷上郡山南町谷川1110番地
              Tel 0795‐77‐0310 Fax 0795‐77‐2825
○市川町文化センター準備室
       (代表:市川町教育委員会生涯学習課長 川本弘昭)
              〒679-2315 神崎郡市川町西川辺380
              Tel 0790‐26‐0969 Fax 0790‐26‐0237
    
平成11年度大会等の開催予定
○IFLA第65回バンコク大会 8月20〜28日 タイ国バンコク市内国際会議場
○全国図書館大会(第85回) 10月27〜29日「図書館ルネサンス・滋賀」 滋賀県大津市
○全国公共図書館研究集会
 ・整理部門     11月18〜19日 東大阪市 「21世紀に向けて利用と保存のための収集・整理を考える」
 ・奉仕部門  10月14〜15日  愛媛県今治市  「社会の変化に対応した図書館サービスを考える」
 ・移動・協力
 事業分科会  
10月7〜8日 横浜市  「BM・図書搬送システムと資源共有化」
○近畿公共図書館協議会研究集会
 ・奉仕部門  平成12年
1月21日 
神戸市
 ・参考部門   平成12年
1月20日
京都市
 ・児童部門  平成12年
1月28日 
大津市
○文部省・図書館地区別研修 平成12年2月14〜18日 大阪市(予定)
○兵庫県図書館協会研究集会
 ・第1回  10月7日  加古川市立図書館  「廃棄図書の有効活用について」
 ・第2回    平成12年
1〜2月(予定)  
三田市立図書館 「情報発信基地としての図書館−インターネットによる情報提供−」