兵庫県図書館協会報 No.62(1999.12.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「勉強の毎日」 神戸市立三宮図書館 佐々木香織
    2. 「いま 思うこと」 猪名川町立図書館 竹田佳代
    3. 「小さな町の小さな図書室」 山南町立町民センター図書室 松本和美
    4. 「新米図書館員です」 三田市立図書館 近藤はる

「ひょうご図書館情報ネットワーク―HALネット―」
9月7日に運行開始式
兵庫県立図書館協力課長 北道啓子
 県立図書館は本年10月1日に開館25周年を迎えましたが、この好機に新たに「ひょうご図書館情報ネットワーク」を構築し、9月7日に運行開始式を挙行、16日より県内図書館からの検索と予約申込の受付を開始しました。
 昭和49年の開館当初より、和書のデータ登録を行い冊子目録を提供してきましたが、平成元年4月には外部の汎用コンピュータと専用線で接続した端末機によってデータ登録、検索業務を行うようになり、このたびはクライアント・サーバー方式で館内LANを構築したものです。図書館業務全般にわたるコンピュータ化を図るとともに、館内利用者にはOPAC、外部にはインターネットを介して蔵書情報を公開しています。各図書館からは検索と同時に予約申込も可能となり、また簡易な分散型の総合目録へ一歩踏み出した次第です。
 積年の思いを完成したわけですが、各図書館に勤務する職員の方々のみならず、県民の皆様からも好評をいただいております。県立図書館でも市町立図書館でも、自宅等でHALネットの蔵書検索をして図書リストを持って来られる利用者がおられます。読みたい本、調べたいことを利用者ご自身が興味を持って検索されることにより、県立図書館が県民にとって身近な存在になったように伺えます。
 県立図書館への来館者には、CD−ROMも利用できますが、これもまた好評を得ています。
 9月16日に相互協力業務担当者への説明会を開催いたしましたが、翌日にはもう図書予約情報が入っており、反応の早さに感嘆いたしております。
 インターネット接続可能な機関は現在73館で、9月には27館から151件、10月には37館から513件の予約が入っています。検索して即時にそのデータで予約ができるので、FAX送信するために記入する作業を省略でき、確実性があります。
 また、将来的には県内公共図書館の分散型総合目録を目指し、現在は一般公開をしている55大学の蔵書を検索できるようになっています。
 さらに、HALネットの特色として、図書館間の情報交換の場「掲示板のコーナー」があります。それぞれの業務上の質問や連絡網として有効活用してください。
 自館で保有する蔵書には限りがあります。利用者のニーズも多様化して一図書館で対応することは難しい時代になってきており、相互協力がますます重要となっています。総合目録に参加していただくためにも各館がインターネットによる蔵書検索を実現していただくよう希望しております。
 HALネットにはまだまだ多くの課題がありますが、平成11年11月11日にアクセス件数1万件を記録しました。今後とも各館のご支援のもとに、更なる協力事業の推進を図っていきたいと考えています。
目・耳・心・手
「勉強の毎日」
神戸市立三宮図書館 佐々木香織
 三宮図書館で働き始めてから、半年が過ぎました。初めてカウンターに座った時は感動しました。緊張しすぎて、利用者がカウンターに近づいてくるのを見ただけで頭の中は真っ白、なんてこともありました。そんな私も少しずつ慣れ、今ではあいさつを交わす利用者も増えました。
 私はカウンター業務の他に予約、雑誌の受入などの仕事を担当していますが、予約では利用者の情報網に驚かされます。広告で見た、本のあとがきに載っていた、書店で見た、と古いものから最新刊まで私が全然知らない本が次々に予約されます。私も書店に行ったり、新刊リストを見たりしているのですが、とても追いつけません。
 カウンターに出ていても同じで、自分の知らないことを次々に尋ねられます。中には単語の意味すらわからないものもあり、自分の力不足を実感させられます。それだけに資料を提供できたときの利用者の笑顔が嬉しく、頑張ろうと言う気持ちが湧いてきます。
 まだまだ経験不足ですが、利用者の気持ちを大切にして、いい司書になりたいと思います。

「いま 思うこと」
猪名川町立図書館 竹田佳代
 96年3月に開館した図書館は、この1月に貸出冊数が200万冊を突破し、貸出人数も50万人を超えました。これは、全国でも同規模の自治体の中では最短記録だということでした。
 4月からは水・木・金の週3日は夜8時までの開館となり、祝日開館も始めました。さらに来年度は移動図書館車を運行する予定で準備を進めています。
 新しいサービスを少しずつ広げていく中で、勤務体制は変則的になり、日々の忙しさについついカウンターでの笑顔を忘れそうになります。図書館を訪れた人が気持ちよく利用でき、気軽に声をかけられるように笑顔での対応を心がけたいと思います。
 図書館の仕事は、経験を積んでも積んでも終わりがありません。毎日新しい本が次々と出版され、利用者がおたずねになる内容や予約される本も様々です。それらに少しでも応えていけるよう努力し、これからも多くの方々に利用され、一人一人の生活になくてはならない図書館となるようがんばりたいと思います。

「小さな町の小さな図書室」
山南町立町民センター図書室 松本和美
 小さな町の公民館の小さな図書室です。何しろ蔵書数は1万5千冊。書架もそろそろ満杯です。あと一段棚があったらなあ。いやいやだれの目線でも楽に本を探せるし、第一とても明るいし…。とはいえ年々利用者が増えていき、レファレンスも多種多様です。今の悩みは、活用できる図書をいかに収納して利用者に提供できるかということです。その意味でもインターネットをはじめ情報通信ネットワークを最大限に利用できるよう目下検討中です。
 図書室には宝物が二つあります。一つは読み聞かせボランティア『きらきら』です。人前で読むのは初めてというお母さんや、元劇団員のお姉さん、マジックの得意なおじさんなど多彩な顔ぶれです。最近では月2回のおはなし会だけでなく、図書室に来られない子どものために『移動おはなし会』を始めました。
 二つ目の宝物は子ども用のベンチと表紙見せのできる書架です。これは公民館の職員が仕事の合間に作ってくれました。カラフルに塗られたベンチに座り、物語に聞き入る子どもたち。どの子の瞳もキラキラ輝いています。
 小さな図書室ならではのあったかい風景を大切に守っていきたいと思います。

「新米図書館員です」
三田市立図書館 近藤はる
 図書館に入って半年がたちました。憧れの司書の仕事についたわけですが、図書館で働くということは、一人前の司書になるための出発点でしかないのだと身をもって感じさせられる日々です。
 利用者の方に本について尋ねられて応えはするものの、今の応え方で十分だったのかと不安になるのが常です。「探されているような本がなければ、もう一度カウンターまでお越しください。」の一言を付け加えずにはいられません。私の力不足で探されている本がみつからなかったとき、案内した本よりもっと適切なものを後で見つけたときにもう一度チャンスをもらえるようにと、この言葉にどうしても力が入ってしまいます。
 読み聞かせも想像していたようにはいきません。ちっとも座ろうとせずに、イスを高く積み上げようとする子供たちに振り回されて、本の世界への案内人にはなかなかなれそうにありません。
 司書の道は予想以上に険しそうですが、一歩一歩前進していきたいと思います。ご指導のほどどうぞよろしくお願いいたします。
平成11年度兵庫県図書館協会第1回研究集会報告
「廃棄図書の有効活用」
加古川市立図書館 東村ケイ子
 平成11年10月7日、加古川ウェルネスパーク図書館において、西宮市立中央図書館の分銅一豊氏、田中良紀氏、滋賀県八日市市立図書館の松宮透氏を迎え、上記の研究集会を開催した。県内各地より48人の参加があった。要旨は次のとおり。
 西宮市では、環境問題に対する意識の高まりの中でごみの減量化が急務となった。図書館では、それまで除籍図書を焼却処分していたが、市民へ無料配布し、再利用を図るために、平成6年にごみ減量対策課と共同でリサイクル図書展(クリーン西宮展)を開催した。
 実施に当たっては、備品である図書を無償配布するため、名古屋市、東京都中野区などを参考にして、資料収集管理要綱の改正など、市の諸機関との調整を行った。
 平成7年からは図書館の主催事業として、会場も中央図書館と「クリーン西宮展」(市民会館)の2本立てで、8年からは北部図書館でも実施した。実施期間は約1週間で、毎年1万5千冊前後の図書を配布した。
 配布資料は、除籍図書、管理換え図書として一定期間過ぎたもの、寄贈落ち図書(寄贈本のうち不採択のもの)などをリサイクル用として用意した。除籍図書は小口印の上に除籍印を押し、バーコードの上にリサイクルシールを貼付した。寄贈本についてはそのまま提供した。
 展示は大きくジャンル分けし、シリーズ本、上・下本はまとめ、一日当たりの配布冊数も決めておき、全集等の残りやすいと思われるものは初日から出した。配布冊数は1人5冊以内としたが、シリーズ本は5冊以上となっても5冊として処理した。
 参加者からは、大変よい催しである、今後も続けてほしいと好評である。
 今後の課題としては、定期的に開催するか常設とするか、また、より効果的な周知方法や古書店との関係も考慮しつつ、さらに市民に喜ばれるリサイクル展を模索しながら実施していきたい。
 八日市市立図書館では、平成7年7月に開館10周年記念事業として、リサイクルショップを含む「風倒木」が設置された。職員数の問題もあり運営は委託で行っている。
 内容は、自然環境関係資料コーナー、図書館の除籍図書や寄贈本のうち再利用できるものを有料で提供するリサイクルショップ「ぶっくる」とコーヒーコーナーの三つの部分で構成されている。
 「ぶっくる」では、本や雑誌を20〜50円で販売している。除籍図書や寄贈本は県立図書館と連携して保存を確認し、不用になったものをリサイクル図書として提供している。この事業は滋賀県立図書館のバックアップにより成り立っている。
 「ぶっくる」の活動が軌道にのった時点で、図書館の環境関連資料の充実を目的に「本の森育成基金」を創設した。将来、図書費が削減された場合、基金を取り崩して使用できるよう条文化している。
 図書は市有財産であるため、無料で配布するのではなく有料で払い下げるという形をとっているが、実際は販売というよりも寄付をしてもらっている感覚である。
 この活動については小学校からの見学もあり、環境問題の学習にも役立っている。
 今後の課題として、資料等の充実を図るための財源確保のため、続けて基金を活用したい。また、「ぶっくる」の運営も図書館に携わっていた人達で継続できるようにしたい。
 最後に、本は単なる消耗品ではなく、命あるものとして使い切って終わらせることが図書館の使命であると結ばれた。
 二つの異なった有効活用の事例や多くの質疑により、図書館が資料を通して自然環境問題や市民とどう関わるかを考え、今後の図書館活動を示唆する有意義な研究集会であった。
☆新館紹介☆
 明石市立西部図書館―西部地域における図書館サービスの拠点に―
明石市立図書館長 垣谷忠彦
 平成11年11月11日、明石市立図書館の分館として市立西部図書館が開館しました。
 明石市は、今秋11月1日に市制80周年を迎え、人口は約29万5千人。市域は約49kuで、海岸線にそって東西に約16kmと帯状に細長く、西部地域に図書館サービスの拠点となる分館の設置が大きな課題でした。
 このたび開館した西部図書館は、明石市立西部市民会館(ホール・494席)との複合施設で、場所はJRの魚住駅から南東へ徒歩約8分のところです。
 建物の構造は、鉄筋及び一部鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て(図書館部分は1・2階)。延床面積は4,330uで内部はなだらかなスロープの「光の回廊」によって「動のホール」と「静の図書館」に区分され、快適な読書環境が保てるよう工夫されています。
 図書館1階の閲覧室(566u)には、一般・児童コーナー、AV(視聴覚)コーナー、床暖房を備えたおはなし室などを設け、2階には自由に学習もできる読書室(93u)のほか、研修室(76u)・会議室(39u)―ともに有料で利用が可能―があります。
 収蔵能力は、閲覧室に5万冊、閉架(集密)書庫に2万冊の計7万冊で、開館時は図書5万冊、雑誌100タイトル、ビデオ・CD各150点でスタートします。
 開館時間・休館日は本館と同じで祝日開館します。
 業務処理は本館とオンラインで結び、メールカーによる物流態勢を整えて一元的に行います。
 今後、本館・分館・移動図書館(BM1台)が一体となって、全市的にバランスのとれた図書館サービスを目指して取り組んでいきたいと考えています。
館   長: 楠本昌信
開   館: 平成11年11月11日
延床面積: 1,395u(図書館部分) 複合施設
〒674‐0082  明石市魚住町中尾702‐3
TEL:078‐948‐5561 FAX: 078‐946‐6785
協会からお知らせ
平成12年度大会等の開催予定
○全国図書館大会
   沖縄県那覇市 2000年10月25〜27日
   「万国津梁の邦沖縄から21世紀へ飛翔―図書館の夢を翼にのせて―」
○日本図書館協会公共図書館部会全国研究集会
  ・整理部門 石川県金沢市 11月1〜2日
  ・奉仕部門 山形県山形市 10月5〜6日
  ・参考事務分科会 宮崎県宮崎市 10月12〜13日
  ・児童図書館分科会 長野県長野市 11月8〜9日
○近畿公共図書館協議会研究集会
   担当 大阪府立中之島図書館(1日間・期日未定)
○文部省・図書館地区別研修(近畿)
   担当 京都市中央図書館(5日間・期日未定)
その他のお知らせ
○明石市立図書館は明石市立西部図書館の開館にあわせて、11月11日より開館時間を変更し祝日開館を実施されています。 
開館時間: 10:00〜18:00
休館日: 毎週月曜日、毎月第3火曜日
(ただし祝日・休日と重なるときは開館しその翌日に休館)
○小野市立図書館は8月1日付けで松尾修治氏が館長に就任されました。
○三原町図書館は10月8日付けで塚本圭右氏が館長に就任されました。