兵庫県図書館協会報  No.66(2001.3.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「ある午後の一場面」新宮町立図書館 岡村美和子
    2. 開館準備中 仮称「北口図書館」西宮市立中央図書館 大島秀一
    3. 「今思うこと…」加古川ウェルネスパーク図書館 小浦愼治
    4. 「図書室の仕事について」夢前町中央公民館 市村百合
     
  • 神戸市立図書館全館電算化完成 (神戸市立中央図書館 長谷川雄彦)

公共図書館と学校図書館の連携
−西宮市における取り組み−
兵庫県立西宮今津高等学校図書館 鈴木啓子
 1995年に西宮市立高校の司書の橋渡しで、公共図書館と学校図書館の連携について初めての会を持ちました。
 翌年10月には、市内高校司書と小・中学校に各1名ずつ配置されている司書(週3日勤務)にも呼びかけて会を持ちました。公共図書館からは図書館長と司書、学校図書館からは小・中学校司書1名ずつ、市立高校司書1名、県立高校司書3名、私立中・高校司書1名が集まりました。
 学校図書館からは、図書費が少なく調べ学習のときに資料不足で困っている現状を説明しました。公共図書館からは「市内すべての学校に『特別貸出』を行うことになると手が回らないが、前向きの方向で捉えたい」という説明がありました。
 また、学校図書館からは箕面市や豊中市等では小・中学校に司書が配置されて図書館の活動が活発になり、公共図書館との連携が欠かせないことを実態調査をもとに説明しました。そうした連携のなかで公共図書館から「学校図書館からの要求で貸出す本を見て、児童サービスのあり方を考えさせられイメージが変わった」という話もあったそうです。
 公共図書館の負担も考慮しながらできることから始め、よりよい方向をめざして模索していくことになりました。
 後日、出席の学校に「特別貸出」が行われることになり、この会は「連絡協議会」として年に2〜3回開かれています。
 公共図書館は学校図書館にパイプ役となる担当者がいれば連携を行う方針です。公共図書館が困っている点は、小学校の調べ学習の本がどの学校も同じ時期に重なり、一校に多く貸出しできないことです。高校の要求は一般書なので小学校のように困ることは今のところないそうです。また、高校はベストセラーなどを自館で購入しており、学校では予約がつかなくなったベストセラーを公共図書館に貸出すこともあります。
 連携が始まって、学校図書館は資料の貸出しを始めレファレンスの対応など日常の活動が助けられるようになりましたが、資料を速くスムーズに提供できる配本システムがないことが目下の課題です。
 連絡協議会では、公共図書館の催しに協力できることがあれば協力したり、小・中・高校生の読書傾向を話し合います。会には学校図書館の発行物を持ち寄り、学校図書館のコンピュータ導入に際してのネットワーク化についてや、連携の研究会の報告などをもとに話し合いも行っています。
 しかし、4年たちますが連携は広がりません。それは小・中学校の司書は2名のみで増加がなく、雇用も2年限りで配置校も2年と継続性がありませんし、公立高校の司書は実習助手という身分なので、兼務だったり司書のいない学校もある状況だからです。また、公共図書館は分館も貸出冊数も増加しているのに予算も人も増えていない状況です。連携は情報交換もできより良い資料提供につながりますが、先へなかなか進まないのが現状です。
 連携がシステムとなるには、図書館関係者や教育委員会や市当局等で更に考え、地域として関わることが大事です。そして、学校図書館には担当職員が置かれること、公共図書館にはもっとゆとりが必要です。
 学校図書館が望むことは、学校の子どもたちも市民であり、将来の公共図書館の利用者としてより良いサービスを提供する、という視点で連携を考えてほしいということです。
 先日、ある公共図書館長の講演で「公共図書館と学校図書館の連携ではなく、公共図書館の司書も子どもたちの共育に参加しているという職業倫理を持ってほしい」という話がありました。
 現在、子ども達をめぐる様々な問題が取り上げられています。今こそ「地域の子ども達を育む」という共通点で図書館同士が密接につながることが大切だと思います。

目・耳・心・手
「ある午後の一場面」
新宮町立図書館 岡村美和子
 学校での貸出から帰ってくるとカメがいた。
「図書館で調べたことを確かめに川に行ったら、これがおったんや。」と利用者のKさん。
 そこへ7歳と4歳の兄弟がやってきて「わぁー!カメ!」「なにガメやろ?」と大騒ぎ。図鑑で調べてみようか、と声をかけ一緒に調べた。甲羅の色や形を見比べてクサガメと判明。何を食べるのかなぁ、何歳ぐらいやろうと二人の好奇心は、どんどん膨らんでいく。
 本を選ぶ手をとめ微笑むご婦人。近くのテーブルからは、三歳の女の子に『かめさんのさんぽ』を読む同僚の声が聞こえてきた。カメは図書館の床を歩き、時々首や手足をひっこめている。
「今日みたカメと同じだよ。」と言って手渡した『いたずらこねこ』を借りて帰ったあの兄弟は、家族と一緒に絵本を読みながらどんな話しをするだろう。
 私の働く小さな町の図書館はとてもおもしろい。日々いろんな出来事がおこり、発見があり、図書館を利用される方が、さまざまな形で図書館に想いを寄せて下さる。私はその想いをまた、本を通して利用者に伝えていく。
 本のある暮らしを楽しむ人たちと一緒にこの町の図書館を創っていけることが、とても嬉しい。

「開館準備中 仮称「北口図書館」
西宮市立中央図書館 大島秀一
 阪神・淡路大震災により大きな被害を受けた西宮市ですが、6年が経過し、街は力強く復興しようとしております。
 新世紀を迎えた本年5月、阪急西宮北口駅北東地区の再開発ビル『アクタ西宮』に、市内で4番目の図書館として、仮称「北口図書館」が開館します。このビルには、図書館や大学交流センター、ギャラリーなど6つの公共施設が入る予定で、市民サービスの一層の充実を図ります。
 新図書館の特色として、すべての資料が手に取れるようワンフロアすべてに開架式の書架を配置し、ビジネスコーナーには、経済、法律等の関係実務書や各種情報誌、専門雑誌等を配置します。また、パソコンを備えた研修室を整備し、インターネットや電子メール等のIT講習が実施できるようにしています。
 阪神間でも有数のターミナルに隣接し、通勤・通学者や買い物客等、多数の利用が見込まれることから、その立地特性を生かした生涯学習施設として、また学習情報センターとして、市民生活に役立つ図書館を目指し、現在は準備に追われる毎日を送っております。

「今思うこと…」
加古川ウェルネスパーク図書館 小浦愼治
 図書館の仕事をするようになって、早いもので16年が過ぎました。総合文化センターとウェルネスパークの図書館の開設準備、その間に市立図書館でも仕事をしたりと、結局市内の図書館を渡り歩いて、あっという間の年月でした。
 しかし、年数を重ねているだけで、未熟さを思い知らされる毎日です。これまで大したこともやっていない上、未着手のサービスを考えるともっとしっかりしなければ…と切実に思っています。
 ところで、昨今のIT革命は図書館にも確実に押し寄せています。これからの図書館には有効なので大いに利用すべき…ですが、頼りきるのは考えものだとも思っています。
 かつて図書館界にMARCが現れた頃、「コンピュータの利用がいくら進んでも、資料を整理し、利用者に提供する図書館員の知識と役割が大切です」と館界の大先輩である弥吉光長先生が話されたことがありました。今でも拠り所となる言葉です。
 これからも、好奇心を大切にして自分の知識と技量を高めて、利用者の方たちに喜んでもらえるように努めたいと思っています。

「図書室の仕事について」
夢前町中央公民館 市村百合
 中央公民館で働くようになって4年になります。小さな図書室ですので、図書関係全般が私の仕事です。
 日常業務から、選書・装備・登録といった作業、機関紙の発行など毎日忙しくて、やってみたいことはいろいろあるのですが、今は目の前の仕事を片づけることで精一杯です。好きなことを思うようにやらせていただいているので苦にはなりませんが、正直なところ、相談できる図書館経験のある方がいらっしゃれば、と思うこともあります。
 一番苦労しているのは、やはり選書です。限られた予算でいかに利用者の要望に応えられるか頭の痛いところであり、最も自分の経験のなさを痛感させられます。これではいけないと思いつつ、利用が少ないこともあり、選書が難しい専門書がついつい後回しになりがちです。小さな図書室に見計らいなどありませんので、書店や図書館にお邪魔して、できるだけ多くの本を手にとって見るようにしています。
 自分が自信を持って選んだものは多くありませんが、「この本よかったで。」という利用者の一言が励みになっています。

神戸市立図書館全館電算化完成
 平成13年1月5日、坂本一昭兵庫県立図書館次長をお招きして、「神戸市立図書館全館電算化完成披露式」を神戸市立中央図書館において開催した。
 昭和55年10月に中央図書館を電算化してから20年、平成元年4月に西図書館・灘図書館の地域図書館電算化を開始してから11年という年月をかけ、当日の東灘図書館をもってやっと全館電算化が完成した。中央図書館の電算化は、県下はもちろん政令指定都市でも早くから着手されていたので、全館オンラインの完成は待望されていた。
 これを機会に、インターネットによる蔵書検索の本格運用を開始した(神戸市立図書館のホームページ:http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/070/welcome.htmlよりリンク)。昨年7月より中央図書館の過去5年間の受入図書約5万冊を対象に運用してきたデモ版のOPACから、市内全館150万冊の蔵書を対象とした検索が可能となった。デモ版運用時には、市民の方々から貴重な意見を頂戴し、希望の多かった貸出中図書の表示やiモードなどの携帯電話からの検索もできるようにした。コンピュータ・システムは、神戸市外国語大学・神戸市看護大学・神戸ファッション美術館ライブラリーと共用で、「神戸市図書館情報ネットワークシステム」を構築しているため、これらの機関の蔵書検索も可能である。
 また、館内にも蔵書検索用のOPACを全館に設置し、当該館だけでなく、神戸市立図書館全館の資料が検索可能となった。今まで利用者は、他の図書館がどのような資料を持っているかわからなかったが、OPACを設置することにより全館の蔵書がわかるので、予約による他の図書館からの取り寄せが増加してきている。
 全館電算化の完成にともない、返却ポストも全館に設置され、貸出券も全館共通となった。今年度末には書庫資料のデータベース化や中央図書館電算化当初に作成されたカナデータの漢字化などの作業が完了するなど、ようやく神戸市立図書館内でのデータベース環境が整備されて、より利用しやすくなる。
 今後は、県立図書館次長が当日の祝辞に述べられたように「HALネット」との接続など、県立図書館や外部の機関との連携を考えていく必要があるだろう。
 (神戸市立中央図書館 長谷川雄彦)

平成12年度兵庫県図書館協会第1回研究集会報告
図書館の選書基準と予約・リクエストへの対応について
姫路市立城内図書館 高濱由香
 平成12年11月24日、日本城郭研究センターにおいて岡山市立中央図書館主任・本山雅一氏を講師に迎え、第1回研究集会が開催されました。参加者は57人で、予約・リクエストに積極的に取り組む岡山市の現場の様子を伺うことができました。
 岡山市では平成元年にコンピュータが導入されて以来右肩上がりに利用が増え、平成11年度には予約25万件、貸出370万冊の実績を上げています。これは利用の停滞原因を一つひとつ取り除き、司書を中心にたゆまぬ努力と改革をしているからです。
 まず、選択の基準は「市民に利用される本」ということです。利用される本を揃えるのですから、おのずと貸出実績は上がる訳です。予約待ちは3ヶ月以内を目標に複本を積極的に収集します。複本は時に非難の的になりますが、岡山市ではカウンター近くに「ベストセラーになった本」の展示場所を設けることでほとんど貸出中になっています。元の棚に戻すと動かないところを、少しの工夫で回転率が上がります。
 運営の方針でも貸出がサービスの中心で、リクエストには必ず応えることを原則に、あくまで市民の側に立って市民と同じ方向を見ます。この度は雑誌単位の定期予約も始め、予約の多いタイトルは複本を追加購入しています。複本は最新号から貸出をしています。
 同じ方向を向くようにというのは、司書同士も同じことで、司書がバラバラにならないように毎日ミーティングで意見を闘わせます。貸出が減少した場合は、該当館に分析させます。その際「子どもが減った」などの外的要因でなく、館内での原因をはっきりさせないと了承されません。
 ただし、利用者の要求に無条件に応えるのではなく、どのような資料を求めているのか、他の資料で置き換えられないのかなど利用者と対話し、的確な対応をすることに司書の専門性を求めています。利用者と職員が出会う場であるカウンターには司書がいるべきとの考えから、交替制もなく「全員が司書・全員がカウンター」態勢です。こうして貸出・予約の増加する中、通常でも2時間という残業で司書だけでも持ちこたえています。
 最後に本山氏がおっしゃったのは「岡山市は特別なことはしていない。貸出や予約が増えた理由にウルトラCはなかった」ということです。私たちにとても身近なお話でしたので質疑応答も多く、いろいろな工夫を自館に持ち帰ることができた有意義な研究集会でした。

☆図書館の仲間紹介☆
ひょうご国際プラザ・国際情報センター
 平成10年4月、「ひょうご国際プラザ」は東部新都心(HAT神戸)に誕生しました。国際情報センター、交流ギャラリー、交流サロン、外国人ビジターズセンター、NGO活動支援室、日本語推進室、貸会議室から構成されており、国籍を超えた人々が国際交流や国際協力について考え、行動を起こす拠点となっています。
 その中で国際情報センターは、国際交流の足がかりとなる情報提供の場としての役割を担っています。
資料としては、日本の歴史や文化、社会制度などの紹介、アセアン・APEC、開発教育・ジェンダー関連、海外事情や国際理解のための図書、日本語の学習書など1万冊を超える国内外の図書のほか、アジア・太平洋地域を中心とする国や地域の新聞や雑誌を約30タイトルそろえています。
 併設のマルチメディアライブラリーでは10台のパソコンを備え、無料でインターネットを利用して国内外の情報を得ることができます。日本の文化紹介 や開発教育関係、語学(日本語・外国語)教材などのビデオ約750本、世界の民族音楽の CD約250枚もそろえています。CD・ビデオの貸出は行っていませんが、ブースでの視聴が可能です。2台のTVでは中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の4つの衛星放送を見ることもできます。
 39席の広い閲覧スペースがあり、図書については貸出も行っています(1人3冊まで/2週間)。館内のコピー機でコピーを取ることもできます(B5・A4/1枚10円、B4・A3/1枚20円)。所蔵している図書・AV資料はホームページ上から検索が可能です。
 交通アクセスはJR灘駅、または阪神電鉄岩屋駅から南へ徒歩約10分です。              
((財)兵庫県国際交流協会 企画課)
開館時間: 9:00〜20:00(土曜日は17:00まで)
休館日: 日曜日、祝日、年末年始
所在地: 〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-1 
国際健康開発センター2階
連絡先: TEL 078-230-3060
FAX 078-230-3080
URL: http://www.hyogo-ip.or.jp/
e-mail: hia@net.hyogo-ip.or.jp
 
県内公共図書館インターネット利用概況
 インターネットが急速に普及し、研修会のテーマにも多く取り上げられています。播図協では研修会を機会にアンケートを実施されたので、そのまとめも参考に県内公共図書館での利用状況を簡単にまとめてみました。
 まず、業務用に利用しているのは60館で全体の80%です。利用の中身は書誌事項の確認や所蔵調査、レファレンスの利用が多いようです。
 ホームぺージで図書館の利用案内、新着図書や雑誌タイトルの紹介などを情報発信している館も増えています。中でも、蔵書検索ができるのは9自治体(県立、神戸、西宮、宝塚、姫路、洲本、和田山、南淡、播磨)となりました。洲本、南淡、豊岡は予約もでき、三木、豊岡ではメールでレファレンスを受け付けています。
 利用者用のインターネット利用端末のある館は、明石、小野、龍野、洲本、滝野、東条、社(図書情報センター)、北淡 、津名、南淡の10館です。
 県立図書館のホームページは、アクセス数で月平均約4,500件、蔵書検索数で月平均約12,400件と利用が定着してきました。
 平成13年度にはHALネットの総合目録が拡充され、また国立国会図書館の総合目録検索館への市町立図書館の参加も可能となります。インターネットを上手に活用して、よりよい図書館サービスにつなげていきたいものです。
  (兵庫県立図書館 熊野清子)

全国・奉仕研究集会 準備だより
 平成13年度全国公共図書館奉仕部門研究集会の基調講演は国際日本文化研究センター助教授井上章一氏にお願いすることになりました。
また各部会の概要も以下のとおり内定しています。
第1部会 事例発表: 横浜市中央図書館
滝野町図書館長 直井 勝
助   言: 八日市市立図書館長 巽 寛
第2部会 事例発表: 富山県小杉町民図書館長 参納哲郎
八尾市立志紀図書館 喜多由美子
助   言: 大阪府立中央図書館 脇谷邦子

 3月9日に第3回実行委員会を開催します。
 なお、県立図書館ホームページ「図書館員のページ」に随時情報を掲載していますのでご覧下さい。