兵庫県図書館協会報 No.67(2001.7.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「昆虫少年」小野市立図書館 松尾隆人
    2. 「五色町在住2か月」五色町図書館準備室 豊田千代子
    3. 「ストーリーテリング講座に参加して」芦屋市立図書館 藤岡弘子
    4. 「良き友として」姫路市立図書館白浜分館 瀧北絵美
IT時代の図書館づくりを
兵庫県図書館協会会長・兵庫県立図書館長 芦田弘逸
 新しい世紀の幕開けの本年は、兵庫県図書館協会創立70周年の節目の年にあたります。昭和6年11月に発足し、戦争のため一時活動が休止しましたが、昭和24年再発足後、図書館の発展に資する各種事業を広く展開してきました。
 県下においては年々図書館の充実が進んでおり、本年は新たに佐用町と揖保川町に町立図書館が誕生し、西宮市では中央、北部、鳴尾図書館に加えて北口図書館が開館いたしました。これにより22市24町に図書館が設立されたことになります。来年度以降も町立図書館の新設や市立図書館の新改築が計画され、図書館設立調査を行う町もあり、大変楽しみです。しかし、設置率でみますと、市は100%ですが、町は36%とようやく全国平均に達したところです。
 私は、数年前教育委員会に席を置いておりますころ、町長さん方になんとか図書館の設立をとお願いしてまいりました。今日の厳しい財政状況の中、関係者の皆さんが懸命に努力されていることに敬意を表しますとともに、県下図書館の一層の発展のため全力を尽くしたいと思っております。
 さて、10月には全国の図書館員が集う全国公共図書館奉仕部門研究集会を神戸の舞子ビラで開催いたします。
 また、この機会に当協会が今日まで歩んできた70年の経緯や加盟各館の紹介、奉仕の状況等をまとめた記念誌『兵庫の公共図書館2001』を刊行する予定です。皆さんのご協力をお願いいたします。
 近年の公共図書館を取り巻く状況は、情報メディアの多様化と急速な普及によって大きく変化しております。コンピュータは図書館業務だけでなく、蔵書検索や複数の図書館を結びつけるネットワークシムテムとして導入され、著しい効果をあげています。
 また、生涯学習社会にあって図書館は、従来の読書中心の利用だけでなく、広範な学習要求に応え多様なメディアを活用する場へと変化しています。
 さらに、「図書館利用に障害のある人々へのサービス」や、日本で暮らすさまざまな国の、さまざまな言語を使用する人たちに情報・資料提供を行う「多文化サービス」への認識も深まり、サービスに進展がみられるようになってきています。
 一方、子どもたちの読書環境も変化し、図書館施設の質的転換や家庭、地域社会、学校との連携、協力が求められています。
 IT時代を迎えて大きく社会が変わろうとしている中にあって、これまでのような図書館が21世紀に成り立つのかどうか、過渡期にある図書館を見直し、IT革命の時代にふさわしい図書館のあり方について、皆さんとともに力を合わせて研究し、実践しなければなりません。そして555万県民に今まで以上に図書館を利用してもらえるシステムづくりに努力していきたいと思っております。図書館を知的興奮の場にしようではありませんか。

目・耳・心・手
「昆虫少年」
小野市立図書館 松尾隆人
 文学には全く縁のなかった私にとって、図書館に異動した当初は、「場違いな世界に来たものだ」と不安でいっぱいでした。しかし児童コーナーで図鑑にかじりついている子どもたちを見てからは気持ちも変わってきました。
 私自身、図鑑の中に未だ見ぬ虫を見つけては、「この虫はいったいどんな所にいるんだろう?」と脳裏に思い浮かべながら、その出会いを夢みることが好きでした。ただの標本写真や図版しか載っていない図鑑も、当時の昆虫少年にはどんな物語にも勝る想像の世界が広がっていたのです。
 近頃、網を持った子どもをめっきり見かけなくなりましたが、図書館に来る子どもたちを見ていると、いつの時代も子どもたちは虫好きなんだなあと、安堵感すら覚えています。ひょっとしたら彼らも図鑑の中の自然にはまり込んでいるのでしょうか。
 今では子どもたちからの質問を楽しみにしています。暖かくなったら虫の新刊も目に付くようになってきました。さあ、これからが私のシーズン到来!虫のレファレンス、いつでも大歓迎です。

「五色町在住2か月」
五色町図書館準備室 豊田千代子
 春の訪れとともに、菜の花の美しい淡路島の五色町に来ました。車の運転ができない者にはとても不便な所とは露しらず、1日数便、乗客1〜2名のバスに乗って通勤しています。ただ、バス停が近くにあるので歩くことがあまりなく、運動不足が気になります。神戸っ子の私には驚くこともたくさんありますが、庭に花や野菜を植えたりして初めての一人暮らしを大いに楽しんでいます。
 仕事では、来年度の開館に向けて館内のレイアウトや選書などをしていますが、思いと現実のギャップや自分自身の力不足などを感じています。これからも規則や人手の確保、開館時間や花の手入れをどうするかなど種々雑多なことが待ち受けています。
 住民の要望により生まれる図書館ですので、住民の方や図書館関係の方など、できるだけ多くの人にいいことも悪いことも含めて教えていただき、無理をせず着実に一つずつ決めていき、住民の生活に役立つ図書館にしたいと考えています。
 広い敷地にたくさんの木や花が植えられ、ゆったりとした明るく伸びやかな雰囲気の図書館にいたします。是非とも一度は淡路島・五色町を訪ねてください。

「ストーリーテリング講座に参加して」
芦屋市立図書館 藤岡弘子
 芦屋市立図書館に勤務して10年あまりになります。機会があって2年間、県立こどもの館主催のストーリーテリング入門講座と実践講座に参加させていただきました。
 子どものころから絵本や童話が好きではなかったのでついていけるか心配でした。が、行ってみると大月ルリ子先生、芦田悦子先生におはなしの世界、絵本の楽しさを分かりやすく優しく教えていただき、また毎回おはなしを語り絵本を読んで下さり、なるほど子供の本はこんなにすばらしいものだと白紙の頭にすいすい吸収していきました。
 目からうろこが落ちたのは、赤ちゃんはとってもいい耳をしていて、生後2週間ぐらいで母親と他の人の区別ができ、いろいろ聞いて脳がいっぱいになったときに言葉を発するということです。母親の語りかけだけでは限度があり、こもりうたやわらべうたが必要になってくるということでした。
 課題のおはなしも覚えてみなの前でどうにかでき、読み聞かせの絵本も選び、少しは自信が持てるようになりました。私はもう子育ては終わりましたが、若いお母さんを応援したいと思っています。

「良き友として」
姫路市立図書館白浜分館 瀧北絵美
 図書館で働きだしてから、あっという間に4年が過ぎました。自らの無知を思い知らされる毎日ですが、求められた本を手渡すときの充実感を糧にして仕事に励んでいます。
 図書館で働くようになるまで、私にとって図書館は古今東西、果ては異次元の世界にまで通じる扉のような存在でした。書架の前で本を片手にあちこちの世界を覗き見る時間はとても幸せでした。
 図書館員になって、今度は自分が利用者と本との良き出会いの場を作る側となり、そのすばらしさと同時に責任の重さを感じます。とりわけ、子どもたちに本を読むことの楽しさを伝えるには、私たち大人が実際に子どもたちの前に豊かな本の世界への扉を開けて見せる必要を感じています。
 本と人との橋渡しをするこの仕事は、本への信頼がなければできません。何事も数字がものをいう時代ですが、本の価値、また一人ひとりにとっての図書館の価値は数字では計れないと思います。
 最良の友として長くつきあってもらえるような図書館をめざして頑張っていきたいです。

☆新館紹介☆
 暮らしに役立つ図書館・住民とともに育つ図書館に
佐用町立図書館長 岡本一良
 平成13年4月14日、土曜日の午前10時――。
「ただいまから開館します。」2時間以上も待っていた数十人の子どもたちが少し緊張しながらもうれしそうな表情で私の顔を見上げました。郡内で初めての図書館のオープンです。
 佐用町立図書館は、美しい自然環境を象徴する星をテーマにまちづくりをを進めている「星の都さよう」の生涯学習まちづくりの施設として誕生、462席のホール、公民館と一体となった複合施設です。市街地の中心に立地、町役場に隣接し、駅や公共機関、商店街も至近にあるなど、たいへん利便性の高い図書館です。
 天井が高い館内は、すべて木製の家具でしつらえ、温かく親しみやすい空間づくりにこだわり、「本を主役」にする配架を心がけています。
 現在の蔵書は3万5千冊あまり。所蔵可能冊数は機能性の高い書庫と合わせて約11万冊です。インターネット上での蔵書検索も開館時からスタートし、利用者に喜ばれています。
 また、「住民とともに育つ図書館」を運営理念の柱にすえ、開館前からボランティアの育成に取り組みました。ただいま34人が手づくりエプロン姿で子どもたちへの読み聞かせやお話クラブ活動、点訳活動などで図書館を支援していただいています。
 新世紀の出発の年に誕生した佐用町立図書館は、町の情報センターとして住民の自己学習を保障し、全ての住民の暮らしとともにあり、暮らしに役立つ図書館、心をはぐくむ取り組みを学校や地域と手を携えていく図書館をめざしています。
 開館にあたり、懇切ていねいにご教示・ご指導いただきました兵庫県立図書館はじめ県下各図書館の皆様に、紙面をお借りして心から感謝申し上げます。
開館時間: 10:00〜18:00
休館日: 月曜日、毎月末日、祝日
所在地: 〒679-5301 佐用郡佐用町佐用2585番地
連絡先: Tel 0790-82-0874 Fax 0790-82-0313
URL: http://www.toshokan.kouiki.sayo.hyogo.jp

☆新館紹介☆
 的確な図書館サービスをめざして
揖保川町立図書館長 嶋津一惠
 生涯学習時代を迎え、住民の学習意欲は高まっています。「揖保川町にぜひ図書館を」と住民の要望の高かった図書館が、町制50周年という節目の年、平成13年5月1日にオープンしました。
 図書館は「揖保川町立文化福祉総合会館」の3階にあり、多目的ホール・社会福祉協議会・シルバー人材センターとの複合施設です。
 開架スペースは約870u、現在の蔵書は3万冊ですが、将来は7万冊をめざしています。館内には「おはなしのへや」やDVDソフトを鑑賞できる「視聴覚コーナー」を設置しました。蔵書の有無は、館内のタッチパネルによる端末機のほかインターネットでも検索できます。
 また、当町は「花と緑と川の町」の町づくりを進めており、「川」をテーマにした本のコーナーを設けています。
 開館して1ヶ月を過ぎた現在、住民の36%にあたる4,700人の登録者があります。週末には家族連れで本を探すほほえましい光景でにぎわっています。
 図書館の基本サービスは「貸出とレファレンス」と考えていますので、確実なサービスができるよう毎日ミーティングをして職員の共通理解を図っています。また、研修したことを報告しあい、職員の資質向上を図りたいと考えています。
 誕生したばかりの図書館ですが、
「この本、おもしろかったよ。読んでみたら。」
楽しみや喜びや恩恵をもたらしてくれる本を通じて、町民同士の交流が始まっています。
 個人が起こす風は、どんなに小さくても確実です。一冊の本が人と人をつなぎ、話しの輪が広がり、町の人たちの暮らしが豊かになるようにと願って、今日も笑顔で的確なサービスを心がけています。
開館時間: 10:00〜18:00
休館日: 月曜日、毎月末日、祝日の翌日
所在地: 〒671-1621 揖保郡揖保川町正條354-1
連絡先: Tel 0791-72-7666 Fax 0791-72-7271
URL: http://www.town.ibogawa.hyogo.jp

平成12年度兵庫県図書館協会第2回研究集会報告
「児童サービスのあり方」
 平成13年3月14日、芦屋市立図書館において第2回研究集会が開催されました。今回は児童文学者・大月ルリ子氏をお招きし、図書館における児童サービスについて講演をしていただきましが、78人もの参加者があり、会場は熱気であふれていました。
 講演では、子どもにとって最も必要なものは「楽しみ」と「喜び」であるとされ、子どもが言葉を習得するとはどういうことなのか、発達心理学の側面からふれられました。このなかで、「言葉を獲得することは、自由を獲得すること」という言葉が強く印象に残りました。
 次に、古代アレクサンドリア図書館、アッシュールバニパール王の図書館、修道院図書館など図書館の歴史を遡りながら、時代・空間を超えて本を書いた人と読んだ人との気持ちが結びつくことの楽しさ、不思議さ、素晴らしさについて述べられました。
「子ども時代の読書は、字を読むことではない。言葉を通して主人公になりきることであり、それは無批判な子どもだからこそ可能。そして、他者になるということは、そこから命をもらって自分自身が強くなることだ。」とのお話に、子ども時代に出会う本の大切さを
痛感しました。
また講演中、「こすずめのぼうけん」というおはなしを語っていただきました。     
 あるとき大月氏がこのおはなしを幼稚園で語ると、園児達は、冒険をとおして困難を乗り越えるこすずめの姿に同化し、おはなしの後、本物のすずめを見つけると、まるで友達のように話しかけていたそうです。 こうしたご自身の体験を紹介していただいたおかげで、子どもが主人公になりきる物語とはどのようなものなのか、具体的に知ることができました。
 最後に、「子どもの本を図書館員が選ばなければ誰が選ぶのか。図書館員が日々研鑚し、その時点で持ち得る限りの能力で行っていくべき。」と、選書にあたって心がけるべき点について助言をいただき、講演会は終了しました。 
 この研修で、図書館における児童サービスの根幹となる大切なものを見つめ直すことができたように思います。        
(芦屋立図書館 丸尾恵子)
協会からお知らせ
○平成13年度全国公共図書館協議会表彰  (敬称略)  
藤原英一郎(尼崎)
小椋清子(加古川) 
東村ケイ子(加古川) 
島田美恵子(加西)
○平成13年度兵庫県図書館協会表彰     (敬称略)
功労顕著: 藤原英一郎(尼崎) 
久野龍己(川西)
永年精勤: 金城信行 楠 隆三 陰山秀夫 松山千鶴子 石田有邦 岸本光司(以上神戸)
吉岡光俊 鷲塚 陽 島崎晶子(以上西宮)
北野正孝(宝塚)
木下 曜(高砂)
片岡利夫 綿谷弘美(以上龍野) 
北井滋子(県立)
○平成13年度の役員紹介  (※は異動等による新任)
会 長: ※芦田弘逸(県立)
副会長: 坂本一昭(県立) ※大野忠昭(神戸) 榎倉執子(猪名川)
※石井靖彦(明石)
理 事: ※芦田弘逸(県立) 
※大野忠昭(神戸) 榎倉執子(猪名川)※穂積雅己(芦屋)    
※石井靖彦(明石)  直井 勝(滝野) 杉岡和弘(香寺)  
宮下 博(姫路) 橋本しげみ(豊岡) 管 芳子(洲本) 
宮脇喜義(篠山)植田敏治(県議会)
監 事: 大島秀一(西宮)  松尾修治(小野)
○新規加入
揖保川町立図書館(新規加入)
○名義変更
佐用町立図書館、五色町立図書館準備室
○地域拠点館新設
西宮市立北口図書館
○平成13年度大会等の開催予定
IFLA第67回ボストン大会 8月16〜26日
第87回全国図書館大会 岐阜大会 10月24〜26日
○全国公共図書館研究集会
 ・整理部門 11月15〜16日 徳島市
 ・奉仕部門 10月18〜19日 神戸市
 ・移動図書館・協力事業分科会 10月4〜5日 岡山市
  (参考業務、児童図書館分科会は実施しない)
文部省・図書館地区別研修・時期未定(5日間) 担当:滋賀県立図書館