兵庫県図書館協会報 No.69(2002.2.1)
目次
  • 目・耳・心・手
    1. 「人より遅いスタートですが…」 神戸市立中央図書館 谷岡史絵
    2. 「宝の山から掘り出して」 伊丹市立図書館 藤縄純子
    3. 「ミッフィーの赤いエプロン」 西脇市図書館 細見尚美
    4. 「本との出会い・人との出会い」 山崎町立図書館 丸山幸子

資料に埋まった図書館
神戸市立中央図書館長 大野忠昭
 神戸市では昭和45年から「1区1図書館構想」を進めてきた。そのスタート時には中央図書館といくつかの分館、分室しかなかったが、49年2月の東灘図書館を皮切りに、新中央図書館の建設、地域館の移転、新築を経て、震災後の平成8年5月、兵庫図書館の開設をもって1区1図書館(プラス1分館)が実現した。構想の前半で新中央図書館以下5館、後半で5館1分館を新設し、構想前にあった図書館はすべて姿を消した。その間26年を要し、今、31年を経過した。この四半世紀余という長い時の流れの中でいろいろな問題が起こってきた。
 昭和49年2月に構想第1館として東灘図書館、同年末に北図書館が新設された。650〜840uと、当時としては画期的な広さをもつ地域図書館であり、どちらにも閲覧室を広くとっていた。蔵書数1万冊、所蔵能力4万冊は両館とも共通しており、当時の記録を読むと、開館すると書架が空っぽになり、これに予約制度の創設をもって対応し、「予約が多いのは自慢にならない。蔵書の充実を図らねば」と図書館活動に心躍らせている。今や両図書館は6、7万冊を蔵し、東灘図書館では閲覧室を廃止して蔵書増に対応している。全市で閲覧室をもつ地域図書館は北図書館だけである。その後開設した地域図書館では、わずかの閲覧席をも惜しむかのように書架を設置して蔵書数の確保を図っている。
 昭和45年当時、図書館設計にあたって、『中小レポート』や『市民の図書館』に導かれながらも、まだ過渡的に館内閲覧を中心に考え、利用者ニーズの変化を把握できていなかったのではなかろうか。当時の記録でも「利用者ニーズの多様化に対応すべき」と書かれているが、このニーズの多様化、館内閲覧から貸出利用への変化が蔵書数の増加に反映しているのだろう。しかしながら、構想実現後の図書館がその後の利用者ニーズに対応できる広さにないということだけは事実である。
 昭和48年に新中央図書館の調査委員会が発足している。当時の図書館員の記録には、「図書館は最低半世紀は使用可能で、蔵書の増加、事業発展による増築、改築が可能でなければならない。」とある。そのあと、「50年後の将来など想像もできないかもしれない」とも断っている。
 新中央図書館はその7年後に開館している。当時は開架図書20万冊、資料のコンピュータ管理など画期的であり、先進的な図書館として見学も多かったということである。しかしながら、50年を待たずしてあのゆったりした図書館がその狭さに泣くことになっている。震度7の阪神・淡路大震災にもびくともしなかった建物は構造的に(財政的にも)増・改築が困難であり、小規模の模様替えによって凌ぐしかないが、それももう限界のようである。
 1,500uの地下書庫は75万冊の所蔵が可能であり、開館時には一部が集密書架で空き書架も多かった。その後、全部集密書架に増設したが、今や、今後の蔵書増に対応しきれなくなり、資料保存のあり方を抜本的に検討せざるを得なくなっている。
 最近の新設図書館をいくつか視察させていただいたが、いずれもうらやましいゆとりをもっている。しかし近い将来、当館と同様の悩みを抱えることにならないだろうか。中央図書館も地域図書館も「もっと多くの新しい本を」「もっと閲覧席を」という市民の要望が強い。「古い資料も図書館に行けば保存されている」という機能も要求される。
 しかし、限りある図書館面積と限りない資料出版を考えるとき、自館の使命・機能について見直す必要があるのではないだろうか。たとえば中央図書館と地域図書館の、県立図書館と市町立図書館の、大きくは国立国会図書館と公立図書館の、という役割分担を生かした資料の収集、提供、保存などは真剣に取り組むべき課題であろう。

目・耳・心・手
「人より遅いスタートですが…」
神戸市立中央図書館 谷岡史絵
 4月に採用され、神戸市立中央図書館奉仕係の司書として働いています。学生の頃は、公共図書館や司書の役割や理念について自分なりの考えを持っているつもりでした。ところが実際に利用者の方と触れ合う現場に出てみると、それがいかに貧弱で脆いものかすぐに思い知らされました。8ヶ月余りたった今も、業務のひとつ、利用者とのひとこまにおいて何が最善なのかと迷いながら働く毎日です。
 神戸居留地に興味があり、資料に惹かれて神戸市立図書館の司書を志した私にとって、図書館そのものの経営や展望は実感の伴わない"勉強"でした。「図書館学は実学でなければならない」という考えはよく聞きますが、現場に出るとまさにその通りであると感じます。『図書館の自由に関する宣言』やランガナタンの『図書館学の五法則』など、学生時代に諳んじた言葉が今ようやく意味を持って胸に響き、日々の迷いを解く糸口となっています。
 図書館学を学び、考えるという大切さにようやく気付いたとんまな私は、今スタートを切ったばかりです。初心忘れず頑張っていきたいと思っています。

「宝の山から掘り出して」
伊丹市立図書館 藤縄純子
 夏はめまいがするほど暑く、冬はおそろしく冷え、昼なお暗い… 中3階と3階にある書庫はこんな場所です。児童書に関わる仕事をしている私は、時間ができると書庫に上がっては書架の間をうろついて過ごします。とても贅沢な時間です。 
 書庫は、貴重書や古い本の並ぶ宝の山。書店では目にすることのできない何十年も前の本だって見つかるのですから。黄ばんでしみがついたり、ちょっと妙な匂いのする本たちは、最近のもののようにくっきりときれいな表紙ではないけれど、やさしい微妙な色合い、ユーモアのある挿し絵、不思議な味わいのある語り口など、大人から見ても魅力いっぱいです。
 そんな本が人知れず書庫で眠っているのはもったいない気がして、山のように抱えてきては閲覧室にせっせと並べています。地味な表紙はなかなか手に取ってもらえないのが残念ですが、これからもいろいろと掘り出して紹介していきたいと思っています。それが誰かさんのお気に入りの一冊になれば、皆さんがいい本に出会うお手伝いができればうれしいのです。

「ミッフィーの赤いエプロン」
西脇市図書館 細見尚美
 西脇市図書館ではミッフィーのエプロン姿の職員がとてもかわいいです。昨年6月よりこちらにお世話になった私も早速赤いエプロンを買いました。6つのポケットがとても便利で、超新米の私はカンニングペーパーとして日本十進分類法の表と館内の配架図は必需品。それに本を探しに行くときの書誌データのコピー、新刊紹介の載った新聞の切り抜き、先輩方のアドバイスの走り書き、めがね、ボールペンと消しゴム(利用者の皆さん、本や机への落書きはペケですよ)、汗っかきの私は冬でもタオルハンカチなどなど。あっ、それから利用者の方のすてきな笑顔とあったかい言葉を詰めこんでポケットはパンパン。「ドラえもんのポケット」と呼ばれています。
 エプロンは目立つらしく、かなり遠くからでも声をかけていただきうれしいです。そのたびに走っていてごめんなさい。図書館業務は幅広く奥も深いです。利用者の方に満足していただける紹介や回答ができているか大変不安です。少しくだびれてきたミッフィーの赤いエプロンに大きな責任を実感する日々です。

「本との出会い・人との出会い」
山崎町立図書館 丸山幸子
 ♪におえる雲と咲きいでて 下照る花の町あかり 山の国なる山崎や―♪と、町歌にも歌われる美しい山川にはぐくまれたこの地に、田舎の小さな図書館があります。
 昭和63年4月18日に開館した当館は、平成12年4月にコンピュータを導入してリニューアルオープンしました。年月を重ねても手書きの目録を一心不乱に作成していたころの初心を忘れず、親しまれる図書館づくりを目指しています。児童コーナーは子どもたちや親子でにぎわい、小説や一般書もたくさん利用され、リクエストも増えてきました。
 人生一期一会、本も好き人も好きになり、いろんな方との出会いを大切に、気持ちを込めた明るい声で交流の輪を広げていきたいと思います。図書館を取り巻く社会状況の変化が著しくなってきました。使いこなしたいパソコンですがなかなか達人にはなれません。けれども、せめて本来の司書としての働きを大切にしながら、人間関係が希薄にならぬように、明るく心豊かなふれあいをキーワードに図書館業務に努めたいと考えております。

<図書館の仲間紹介>
イトーヨーカドー子ども図書館
 イトーヨーカドー子ども図書館は「子どもたちがほんとうにおもしろい本と出会い、本を読むことを好きになってほしい」との願いから生まれました。1978年にイトーヨーカドー沼津店の一角に第1号が開館し、現在では全国で11館が活動しており、加古川店はこの2月で14周年を迎えました。
 店の2階にある図書館は約95uに約9,900冊の蔵書があります。2001年12月末までの累計で登録者は23,754人、貸出冊数は575,475冊となりました。
 絵本棚は子どもたちが手にとりやすいよう120cm以下にして、絵本の魅力である表紙を見せて並べられるようにつくっています。子どもたちがすわる椅子やテーブルは木製で床はじゅうたん敷です。子どもたちの視線の高さですべてをそろえ、くつろいで本を楽しんでもらえるよう心がけています。
 本は1冊1冊吟味して選書しており、複本をそろえています。ほんとうに本の世界の楽しさを教えてくれる本、何世代にもわたって読みつがれる本を選んでいますので、「なつかしい」と手にとられる大人の方が多く、親子2代で同じ本が楽しめることも喜ばれています。最近では、積極的に本選びに参加されるお父さんも目立つようになりました。おひとりおひとりにこちらから声をかけて相談しながらその方に合った本を手渡すようにしています。そのせいか「おもしろかったです」「この本大好きで何度も借りているんですよ」などの声をいただくこともよくあります。
 スタッフによるおはなし会を定期的に行い、またいつでもフロアで読み聞かせをします。貸出はおひとり3冊2週間、何歳でもどこに住んでいても無料で利用できます。グループ・ご家族への団体貸出や指人形セットの貸出も行っています。  (司書 竹中佳子)

開館時間 平日は13:00〜17:00
(日曜・祝日、土曜休校日、小学校の長期休み中は11:00〜)
休館日 イトーヨーカドー店休日
所在地  〒675-0124 加古川市別府町緑町2 イトーヨーカドー加古川店2階
連絡先 TEL 0794-35-3131(代)

  
<図書館の仲間紹介>
サンパティオ図書館
「本っておもしろいね!」の輪を
 組合員・地域住民の文化活動の拠点を目指して、平成9年11月22日、国内でも数少ない「農協立図書館」JAハリマ・サンパティオ図書館が開館しました。
 宍粟郡一宮町・波賀町・千種町の3町を管内にもつJAハリマは、丹波黒大豆や自然薯の産地としても有名です。面積の9割近くを山林が占めており、秋の紅葉や冬のスキーなど観光客も多く訪れます。
 自然環境に恵まれた揖保川の源流の側にあるサンパティオ図書館は、鉄筋平屋建て、開架スペース約250u、蔵書は2万8千冊あまり(うち児童書9千冊)。所蔵可能冊数は3万8千冊と規模は決して大きくありませんが、小規模図書館だからこそできるサービスを目標に運営しています。「読書の楽しさを広げていきたい」をモットーに、子どもに対するサービスの徹底と一般書も読み物重視の蔵書構成を心がけ、補いきれないレファレンス等は県立図書館や近隣の図書館の協力を得て応えています。
 また、幼稚園・学校へのサービスとして絵本の読み聞かせやストーリーテリングをはじめ、本を箱に詰めて学校へ持って行き昼休みに貸し出す「本の出前」など、自由な発想で子どもと本をつなぐ機会を増やしています。昨年からは利用者の協力で、月に2度の自治会集会所での仮設図書館も実現しました。
 図書館の隣に農協のAコープがあるため、買い物をかねて訪れる親子が多く、子どもが本を選んでいる間にお母さんと読書談義に花が咲くこともしばしばあります。
「図書館=勉強・静かに」のイメージを払拭し、気軽に立ち寄れる面白そうなところでありつづけられるよう、職員自身も楽しんで資質向上に励んでいきたいと考えます。        (司書 内海千夏)

開館時間 10:00〜18:00
休館日 火曜 第1・3月曜 祝日(一部開館)
所在地 〒671-4114 宍粟郡一宮町福野160‐2
連絡先 TEL 0790-74-1245(FAX兼)
 
<新館紹介>
西宮市立北口図書館
 北口図書館は、西宮市4番目の拠点図書館として、1日7万人の乗降客がある阪急西宮北口駅前の再開発ビル・ACTA(アクタ)西宮内に大学交流センターなど5つの公共施設とともに、平成13年5月29日にオープンしました。図書館の延床面積は3,393u、蔵書数は約15万冊でスタートしました。
 館の特徴としては、書庫は設けず、開架スペースを約2,400uとってすべての所蔵資料を配架したので、利用者は自由に手に取っていただけるようになっています。また、ターミナルということもあり、働く人たち向けにコンピュータ、経済、法律などの関係書を集中して並べたビジネスコーナー、活字離れ世代といわれる十代の子どもたちを対象とした図書、雑誌などを配置したティーンズコーナーのほか、100インチのディスプレーを備えたAVホールなどを設けました。
 駅前という立地、沿線に大学や高校などが多いということもあって、開館以来、幼児から高齢者まで多数の方々のご利用をいただき、貸出冊数は昨年12月までの7ヶ月間で約58万冊となっています。オープン当初の繁忙期は過ぎ、次第に落ち着いてきましたが、このように多くの皆さんの大きな期待にどうお応えしていくか、責任の重さを感じているところです。
 西宮市では「夢はぐくむ生涯学習のまちづくり」に取り組んでおります。生涯学習社会の実現のため、全市を上げて施策・事業を展開しており、生涯学習の中核施設としての図書館の役割が問われています。
 今後ともより多くの皆さんにもっと愛される図書館めざして努力を重ねてまいりますので、よろしくお願いいたします。       (館長 木元達雄)

開館時間 10:00〜19:00(土・日は17:00まで)
休館日 月曜 第1木曜 祝日 年末年始
所在地 〒663‐8035 西宮市北口町1-2 ACTA西宮 
連絡先 TEL 0798-69-3151 FAX 0798-64-5058
URL http://www.nishi.or.jp/~tosho

 
平成13年度全国公共図書館奉仕部門研究集会・
近畿公共図書館協議会児童奉仕部門研究集会
「21世紀をひらく図書館サービス」をテーマに、平成13年10月18・19日の両日、神戸市の舞子ビラ神戸において全国から370人を迎えて開催しました。
 1日目の基調講演「本を求めて」では井上章一先生のユーモアを交えたお話を伺いました。
 第1部会は203人の参加者で、「暮らしに生きる図書館を」をテーマに、横浜市の市役所各部署への資料提供と、滝野町の楽しい貸出をめざす図書館サービスの事例発表。第2部会は167人の参加者で、「子どもと本を結びつける」をテーマに、小杉町の学校図書館への支援サービスと、八尾市の子どもの視点から見つめなおすサービスの事例発表。
 2日目は全体での研究協議のあと日図協の事務局長より情勢報告をいただき、全日程を終了しました。
 参加者には兵図協創立70周年記念『兵庫の公共図書館2001』と県内各図書館の図書館だよりや利用案内をお持ち帰りいただきました。 
 参加いただいたみなさま、運営委員の方々には本当にありがとうございました。

協会からお知らせ
○東浦町立図書館は10月1日付けで岡松えり子氏が代表者(ひがしうら文化館長)に就任されました。
○全国・奉仕部門研究集会の実行委員会と臨時理事会を3月7日に、事業企画委員会を3月22日に開催の予定です。
○次年度は役員・委員の改選となりますので各地区ごとに推薦方よろしくお願いします。
○HALネットの図書館員のページ内に『会報』の電子版(写真と地図を除く)を掲載しています。