兵庫県図書館協会報 No.72 (2003. 2.1)
目次
  • あかちゃんに絵本を 
    「すべての赤ちゃんに絵本との時間を」 豊岡市立図書館 岩本 由美
    「ブックスタートをはじめて」 播磨町立図書館 桜井 美予子
    「0歳から絵本の世界へ」 東浦町立図書館 宮前 定生
よちよち文庫の誕生     姫路市立城内図書館 主任 石田 裕子
 「0〜2歳の赤ちゃんにも絵本を。おっぱいやミルクが赤ちゃんの心の栄養となるのと同様に、やさしい言葉で話しかけてあげることは、赤ちゃんの心の栄養となるのです。」
 最近ブックスタートの広まりで、赤ちゃん絵本が注目されています。私自身、当時1歳の子どもを子育て中で、膝に子どもを抱っこして絵本を読んだり、寝る前に布団でほっぺとほっぺをくっつけて絵本を読むひとときは、とても心地よい時間でした。
 そこで、姫路市の図書館では赤ちゃんとお母さんのために、絵本を数冊プレゼントするブックスタートではなく、姫路市独自の方法で何かできることはないかと考えました。
 まず、平成13年度に、保健所、児童センター、市民課、児童福祉課と図書館とで協議し、赤ちゃんの訪れる施設に赤ちゃん絵本を置く「姫路市の絵本を楽しむネットワーク」を始めることにしました。そして愛称を募集し、『よちよち文庫』に決定しました。それと並行して、赤ちゃんに勧めたい絵本の選書を行い、小冊子『よちよち文庫〜あなたの赤ちゃんにすすめたい20冊〜』を作成しました。その中には、20冊の絵本の紹介、読み聞かせのアドバイス、「姫路市の絵本を楽しむネットワーク」の紹介、そして赤ちゃん用の貸出券申込書を盛り込みました。この小冊子は、出生届受付時に市民課で、全員に配布しています。また「姫路市の絵本を楽しむネットワーク」のそれぞれの施設(保健所、児童センター、児童福祉課、保育所、図書館)で、小冊子と、その冊子に紹介されている20冊の絵本を手に取ることができます。
 図書館では、平成14年度春季館内整理期間中に『よちよち文庫コーナー』を全館の入口近くに新設し、絵本の表紙を見せて配架できる専用絵本架を導入しました。当初20種類の絵本でスタートした『よちよち文庫』の絵本は、何度か選書を繰り返し、120種類で全館合計1万冊を利用者に供しています。
 『よちよち文庫コーナー』の新設とともに、城内図書館においては、入口から、〈よちよち文庫〉→〈幼児絵本〉→〈読み物〉→〈学習用〉の本が手に取れるような流れを作りました。よちよち文庫コーナーでは、ベビーカーで赤ちゃんと一緒に本を借りるお母さんや、子どもと並んで絵本を読んでいるお父さん、おじいさん、おばあさんの姿が見られ、その風景は温かいものです。「この絵本が大好きになって、手放せなくて家でも買いました。」と言われる方もあります。
 いつも本が身近にあって、本を楽しんでもらえたら……と『よちよち文庫』は願っています。
・・・あかちゃんに絵本を・・・
「すべての赤ちゃんに絵本との時間を」     豊岡市立図書館 岩本 由美
 当館では平成14年度新規事業として、「絵本との出会い・読み聞かせ推進事業」(ブックスタート)を4月より実施しています。月に1度保健センターで行われる7ヶ月健診時に、読み聞かせの実践とアドバイス、及び乳幼児向け絵本の紹介を行い、絵本2冊・赤ちゃん向けブックリスト・メッセージカードなどをすべての保護者に手渡しています。保健センターの協力のもと、職員2、3名と図書館ボランティア3名の体制で取り組んでいます。
 本事業の実施にあたり大切に考えていることは、赤ちゃんの成長には体の栄養とともに心の栄養も必要であるということです。絵本を通しておだやかに語りかけることで、赤ちゃんの心や言葉が育まれるのではないでしょうか。赤ちゃんと共に絵本を開き語り合う時間が、子育ての中で心休まる一時になればと願っています。
 また近年、核家族化の中で子育て不安が増し、地域ぐるみで子どもの成長を温かく見守るという新たな子育て支援が必要とされています。図書館と保健センターとの、セクトを超えた協力体制の中で子育て支援に取り組むことで、新しい可能性に繋げたいと思います。
 そのほか、本事業での絵本との出会いを大切にし、月に一度「おはなしのゆりかご」として、あかちゃんへの読み聞かせを行っています。健診時に我が子が絵本に興味を示す様子を目にしたためか、毎回多くの参加者が図書館を訪れ、赤ちゃんとの楽しい時間を過ごしておられます。当館の乳幼児向け絵本の貸出も飛躍的に増加しました。今後も、保健センターや図書館ボランティアと一層連携を深めて、充実した事業を展開していきたいと考えています。
「ブックスタートをはじめて」     播磨町立図書館 桜井 美予子
 「ブックスタート」という言葉を初めて知ったのは、2000年12月、「赤ちゃんに本を贈ろう」という新聞記事でした。私は当時、ある課題を持っていました。それは、図書館に足を運んでくれる人は本に関心のある人で、そうでない人に来てもらうにはどうすればいいか?ということでした。そのためにはまず、子どもたちに来てもらおう。子どもの頃から本に関心を持つには?と考えていたちょうどその頃、「ブックスタート」に出会ったのでした。「これだ!」と思いました。
 それからは健診の時に配る資料を作成し、健診担当課へ了解を得て、まずは絵本を袋に入れて健診会場へ通いました。乳児・一歳半・三歳と毎月通ううちにあることに気づきました。絵本の前の私に話しかけてくる人たちは、絵本の読み聞かせをしているか、またはその経験のある人でした。また子どもたちも同じでした。そうです。絵本を広げていても関心のない人たちは素通りしてしまうのです。これでは絵本に関心を持ってもらうことは期待できません。
 そして、ブックスタート開始に向けて、四役協議、予算折衝など繰り返し説明して、やっとゴーサインをもらいました。予算確定後は、ブックスタート支援センターへの発注・問い合わせ、健診担当課の保健師、子育て関係機関の方、図書館職員、図書館ボランティアさんへの協力のお願いや説明・内部打ち合わせなど慌ただしくすぎ、現在順調に進み、図書館でラッコちゃんのロゴ入りの袋を下げた親子を見かけるようになりました。
 一組一組の親子にブックスタートのメッセージが伝わり、赤ちゃんと一緒に絵本を楽しみ、心温まる時間を過ごしてくれることを切に願っています。そして、私と一緒に毎月メッセージを伝える職員やボランティアさんと協力しながらこれからも頑張っていきたいと思っています。
「0歳から絵本の世界へ」     東浦町立図書館 宮前 定生
 「こんにちは、図書館です。絵本のプレゼントに来ました。」 
 このようなスタイルで、昨年9月から毎月2回乳幼児健康相談の会場でブックスタートを始めました。
 昨年度の県立図書館の研修を受け、4月から、焦らずゆっくりと職員の理解を深めながら、手作りで作業を進めました。
 9月の本番、最初の赤ちゃんを迎えたときは、いささか緊張しましたが、「0歳から絵本の世界へ」を合い言葉に、職員みんなが応対しました。そんな時、我々が用意した絵本に赤ちゃんが即座に反応してくれたときには、とても嬉しくこの事業のやりがいを感じます。
 子どもたちを巡って、心が痛む事件が頻発する中、多くの親子が絵本を通して心地よいひとときを過ごしてくれたらと願ってやみません。
 スタートからようやく半年を迎えましたが、まだまだ満足のいくような、接し方ができず、その都度、職員間で反省しながら、次回に向けて勉強しているところです。最近になって、プレゼントしたバッグを持って来館するお母さんが見られるようになり。また、これを機会に利用登録をされるお母さんも、少しずつですが増えてきました。これからも焦ることなく、着実に事業を進めていきたいと思います。
図書館ホームページ考     芦屋市立図書館 前田 文也
 図書館のホームページというと、所在地、開館日、借り方、催し物、新着図書程度の情報に、蔵書検索という所が多い。「goodsite」で紹介された、いくつかの図書館のホームページのコンテンツの中からこれからのあり方を考えたい。
・成田市立図書館 http://www.library.narita.chiba.jp/
・市川市立中央図書館 http://www.city.ichikawa.chiba.jp/shisetsu/tosyo/tosmain.htm
・荒川区立図書館 http://www.library.city.arakawa.tokyo.jp/
・中村学園大学図書館 http://www.lib.nakamura-u.ac.jp/index.htm

図書館を使う上で必要となる基本的な情報が整理されているか
 貸出カードの作り方にとどまらず、開架室の配置・配架、日本十進分類法(NDC)など、情報拠点として図書館を利用する、使いこなす上で必要となる基本的な情報が整理されている。
 OPACの検索方法、資料の探し方、電子情報(リンク)、図書館の事業、催し物、サービスについても、それぞれの利用方法や内容、日程などがわかりやすく整理されている。
地域の図書館としての特色を出しているか
 郷土DBのコーナーには、むかし話、歴史・民俗・ゆかりの文学図書、関係新聞記事検索、ゆかりの人の文献検索などがあるか。著作権上問題ない資料については,アーカイブ化し無償で自由にだれでも利用することのできる電子図書館になっているか。
職員の顔が見えるか
 レファレンスの受付にあたって、リファレンス担当の得意分野のプロフィールを紹介している。親しみと信頼性を持たせる工夫と思う。
ネット時代のサービスになっているか
 ネットで検索ができると、ネット予約、電子メールによるリクエスト、リファレンス、貸出期間延長等のニーズが産み出されてくる。
弱者に配慮した画面になっているか
 インターネットでは、読み上げブラウザを使って「見ている」視覚障害者がいる。画像の代替文が適切に入っているか、安易にスペースを多用していないかなど、うまく読み上げるようにそれなりの配慮が必要である。
(まえだ ぶんや)
E-mail:maeda.f@city.ashiya.hyogo.jp
URL  :http://www.ashiya-city-library.jp

「goodsite」とは,地域電子図書館の実現に向けたさまざまな活動もしている財団法人高度映像情報センター(AVCC)が取り組んでいる、公共に優良なサイトを発掘・紹介する運動。
平成14年度兵庫県図書館協会第1回研究集会報告
「インターネットを活用した図書館サービスについて」
 10月18日、尼崎市立中央図書館において、大阪市立中央図書館の高橋俊郎氏を講師として迎え、標記テーマにより第1回研究集会が開催され、県内各図書館から41名の参加があった。
 講演では、はじめに大阪市立中央図書館の概要についての説明があった。平成8年度のオンライン化、平成14年1月インターネット予約開始等に伴い、貸出件数及び貸出予約件数が飛躍的に伸び、特に予約件数はこの10年間で、24館全館で5倍、中央館では8倍になったとのことであった。
 続いて予約システムを中心に、現在行われているサービスについての講義に入った。メールアドレスを登録している予約者には、取り置きができると自動的にメールで通知され、4日経っても取りに来ない場合は再度通知をする。また今年度中には携帯電話サイトを開設し、携帯電話からの検索・予約が可能になる予定である。
 予約に伴う毎日の作業の実際については、さらに詳しいお話があった。
 予約件数の増加に伴い、予約センターには取り置き資料約6千冊が常時満載で、予約をつけないと新刊本が借りられない状況になり、そのことがさらに予約数を増加させる傾向にある。利用者は予約をすれば資料が即確保されると思い込みがちで、人間が探して予約資料を確保しているということの理解がなかなか得られないとのことであった。
 なお、利用者情報は各館毎のオフラインパソコンで管理している。そのため、予約の場合、貸出カード発行館でしか図書を取り置きできない不便さはあるが、利用者情報の保護を優先している。
 また、レファレンス面ではオンライン上での事例集作りを試み、情報の蓄積を図ることで地域図書館を含め、力量アップを目指している。
 このほか、新しいサービスに積極的に取り組む中での現場での様々な事例や苦労など、具体的で実務に即した内容であった。講演後、時間が過ぎてもなお質問が相次ぎ、参加者にとっては今後の実務に参考になる有意義な研究集会になったように思う。
(尼崎市立中央図書館 峯 研児)
第88回全国図書館大会報告
「進化する図書館、未来を拓く群馬から」
 10月23日から25日、群馬県前橋市において全国から約1700名の参加者が集い、開催されました。
 3日間の、記念講演・基調報告・事例発表などを通して最先端の情報を得ることができ、またたくさんの刺激を受けて、実りの多い大会でした。
 今の時代、自治体も図書館も変わらざるをえない。図書館から、どんどん情報を発信し、付加価値をつけてアピールしていかなければならない。多くの人に利用され、また利用者を満足させるより良いサービスをして、地域社会の中で、いかに図書館の果たす役割が大きいかを認識・評価してもらい、これからの図書館を発展させていかなければならないと感じました。
(兵庫県立図書館 井上由加里)
全国公共図書館研究集会報告 奉仕部門
「図書館サービスの新たな拡がりを求めて」
 10月17・18日の両日、さいたま市において388人の参加のもと開催されました。今回は、「情報化・共有化・効率化」をキーワードに、図書館サービスの今後の展開について協議が行われた。
 ジャーナリスト菅谷明子氏による基調講演では、ニューヨーク公共図書館のビジネス・企業支援等の多彩なサービス事例が紹介されました。市民のニーズにあった実務重視のサービス、優れた情報収集・編集力など、参考となる点が多いと感じました。
 事例発表では、静岡県立中央図書館、岐阜県白鳥町図書館、さいたま市立東浦和図書館のそれぞれの取り組みが発表されました。
 「サ−ビス」とは、もっとも奥が深く、かつ時代の流れと共に変わっていく課題であるということを、改めて考えさせられた有意義な研究集会でした。
(兵庫県立図書館 出井 雅子)
参考事務分科会
「変革期におけるレファレンスサービス」
 10月3日から4日にかけて三重県で開催された参考事務研究集会は、菅谷明子氏による特別講演で幕を開けました。菅谷氏は講演のなかで「地域の情報センター」の役割が今後の図書館に期待されている役割であるとの見解を述べられました。
 事例発表は「村・市・県立」それぞれの図書館が地域性や周辺自治体との関係を踏まえ、直面している課題について積極的に取組んでいる姿に感銘をうけました。二日間全体を通して、図書館を巡る環境は依然厳しいものがあるが、住民や利用者のニーズを的確に把握して効率のよいサービスの展開を模索する。他館の成功例を模倣してもだめで、自分たちの館に何が求められているのかをよく把握する。足りない部分をいかに補うかというところで知恵を絞る。という「前向きの発想」が必要だと改めて認識した研究集会でした。
(兵庫県立図書館 山田 幸一)
児童図書館分科会
「読書で拓こう子どもたちの未来」
 11月14日・15日の2日間、熊本市において第31回児童に対する図書館奉仕全国研究集会が開催されました。子どもたちの豊かな読書環境づくりのための方策について考えるという趣旨で、全国より700人を超える参加者がありました。
 基調講演では、作家の松谷みよ子氏が『「ちいさいモモちゃん」から「捨てていく話」まで』と題して話されました。分科会は「乳幼児サービスの展開」、「図書館と学校教育との連携」、「図書館とアウトリーチ」の三つに分かれ、それぞれ事例発表と研究討議が行われました。全体会では、分科会報告と「児童サービスの未来像」をテーマとしたパネルディスカッションがあり、パネラーの方がそれぞれ熱心に意見を述べられました。すべての子どもに対するサービスをするために重要なのは、利用者を知り、資料と結びつけるという基本であるとの話が印象的でした。
(姫路市立図書館花北分館 村上 朋世)
協会からお知らせ
○休館中の加西市立図書館は、3月27日(木)に北条駅前のビル「アスティアかさい」にて新規オープンします。
〒675-2312 加西市北条町北条28-1アスティアかさい内
電話番号・休館日等はそのままの予定です。
○休館中の篠山市立本郷図書館は篠山市立中央図書館として4月1日(火)に新規オープンします。
〒669-2206 篠山市西吹88-1 他未定

訂正のお願い
 
「兵庫県公共図書館調査 平成14年度」
・2p 17 伊丹市立図書館南分室 → 南分
・6p 74 五色町立図書館 
郵便番号656-1301 → 656-1325
電話番号0799-33-1693 → 0799-32-1693
兵庫県図書館協会報 no.72 平成15年2月1日
編集・発行:兵庫県図書館協会
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兵庫県立図書館内
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