兵庫県図書館協会報 No.75 (2004.2.1)
目次

子どもたちにすてきな本との出会いを 小野市立図書館長 岡井三千雄

「星の都さよう」へどうぞ 佐用町立図書館 尾崎基彦
「幸せな人事異動」 西宮市立中央図書館 大路奈都子
「親バカの壁」 加西市立図書館 永良丈晴
「変則勤務シフト作成からの開放?」 尼崎市立北図書館 横山弘行

平成15年度兵庫県図書館協会第1回研究集会報告
「公共図書館における著作権問題―著作権法見直しの動向―」
第89回全国図書館大会報告
「創めよう!図書館の世紀―知・人・夢作り―」
全国公共図書館研究集会 総合・経営部門
「多様なニーズに応える図書館経営のあり方―今後の図書館経営はどうあるべきか―」
全国公共図書館研究集会 サービス部門
「図書館はどう生まれ変わるか―市町村合併と図書館サービスの再構築―」
近畿公共図書館協議会研究集会
「新たな図書館サービスを育む」
平成15年度兵庫県公共図書館調査(付帯調査)の結果を表にしました。(第2回)
協会からのお知らせ
 
子どもたちにすてきな本との出会いを  小野市立図書館長 岡井三千雄
小野市立図書館は、近隣に市立総合体育館、大型ショッピングセンターの立地する場所に位置し、平成16年からスタートするコミュニティバスの停留所も設置されることになりました。さらに、平成17年3月には、市民活動の拠点となるうるおい交流館(仮)が館の西側に開館し、図書館来館者の増加が予想されます。このように周辺環境が変化する中で、「来館者の目線にあった特色ある図書館づくり」をめざすために「親切に」「丁寧に」「正確に」「迅速に」「身軽に」「はっきりと」等、ハートフルな対応をモットーとしております。
さて、昨今子どもの活字離れが指摘されていることから、本に親しむ機会を増やそう、借りやすい環境を作ろう、そういう思いから図書館が市内の幼稚園、小・中、養護学校を定期的に巡回し、学校で本の貸出と返却ができる「小野(Ono)−学校(School)−図書館(Library)、OSL図書貸出システム」を昨年の6月中旬からスタートさせました。
このシステムは、子どもたちが学校に居ながらにして図書の貸出や返却のサービスが受けられるものです。
図書館職員が巡回カレンダーに沿って月2回学校を巡回し、児童・生徒に個人貸出(一人10冊以内、貸出期間は2週間)と学級単位での団体貸出(各学級100冊以内、貸出期間は1か月)を行います。貸出図書は事前にインターネットや電話、FAX、巡回時に直接申し込まれたものです。
このほか、レファレンス業務(調査、相談)として各学級の授業のテーマを聞き、次の巡回時にそれに関係する図書を用意して各学級に届けるサービスも行っています。
このシステムが稼動して約半年が経過しましたが、大変好評で、子どもたちからの貸出のインターネット予約も頻繁にあります。このような予約が進むにつれて一般者のインターネット予約も増加し、予約件数も月400〜500冊になりました。これは、以前の約2倍の件数で、予約の半数を占める勢いになってきました。
また、一般の方々については、昨年より市内5か所にある「コミュニティセンター」や家庭のパソコン等で予約されると、その図書をセンターの窓口で貸出・返却できるサービスがスタートしています。
もちろん子どもたちにも利用可能ですが、一日のうちの大半を過ごす学校を窓口にすることの方が利用しやすいのではと考えました。
このOSLシステムは、特に図書館から遠い地域の子どもたちには喜ばれています。
また、先生方からは、「図書館の新しい本を学級に置くことで、読書をする習慣を身に付けるきっかけとなればよい」とか「学校にある本だけでは総合学習に対応しきれないのでありがたい」という声も聞かれます。
図書館ではこれからも子どもたちにすてきな本との出会いの機会を提供していきたいと考えています。特に子どもたちに必要な図書が提供できるよう児童書の充実を図っていきます。
図書館の蔵書は市民の財産です。図書館に来られる人だけに活用してもらうのではなく、より多くの人が利用できる機会を充実させ、財産の有効利用につなげたいと考えています。
 
「星の都さよう」へどうぞ 佐用町立図書館 尾崎基彦
私が勤務する佐用町立図書館は平成13年4月のオープン。私は昨年春に図書館に配属になりました。図書館に配属になる前は、町の企画や議会、出納、福祉、農業などの部門におりました。
私の町の自慢はやはり美しい星空と「県立西はりま天文台」でしょうか。昨年の夏に6万年ぶりの再接近が話題になった火星も、天文台の60センチ反射望遠鏡で観望しました。
新聞でも報道されましたが、同天文台では、今年11月の完成を目指して2メートル反射望遠鏡が整備中です。
ハワイ島のすばる望遠鏡など世界には大きな望遠鏡はたくさんありますが、西はりま天文台の2メートル望遠鏡は、研究者でない一般の人が実際にのぞくことができる望遠鏡としては世界一の大きさになるそうです。
完成後にはみなさんぜひ西はりま天文台にお越しいただき、宇宙をのぞいてみてください。ついでに佐用町立図書館にもどうぞ。お待ちしています。
 
「幸せな人事異動」 西宮市立中央図書館 大路奈都子
「辞令交付」中央図書館への配属通知。驚きと戸惑いの中、本の嫌いな私が、悪戦苦闘した9か月が過ぎようとしています。
当初消極的だった私は、「ただただ、本って重い!図書館の中は深閑としていて、息苦しい。」と感じていました。さらに、日がたつにつれて、本に関する知識はもとより、音楽・映画・その他すべてのジャンルにおいて無知であることを痛感しました。
しかし、来館される方々の喜ばれる様子を見たり、活字の楽しみ方などが徐々にわかってくるにつれ、もっと早く本に接し、親しむことができていたら、私の人生も変わっていたのではないかと悔やむようになりました。今はまだ未熟で、利用者の方々はもとより、職員の皆様にも役に立たない私のせいで、ずいぶんご迷惑をかけていることと思いますが、皆様に喜ばれる図書館職員を目指してがんばろうと思います。
今後の私の目標は、「図書館」に縁遠い方々に、来館していただける方法は何かということを考えることです。実は図書館はお得感いっぱいな場所なのです。そのことを理解していただければよいのですが・・・。
私と同じように、図書館へ異動してくることがなければ、一生本に触れることがなかっただろうと思っている方、是非このことについてお話してみたいですね。
 
「親バカの壁」 加西市立図書館 永良丈晴
僕にはもうすぐ3歳になる娘がいる。『マークのずかん』を図書館から借りてきた。最初は「これなに?」「これは横断歩道」といった微笑型親子基本姿勢であったが、道路標識をほとんど憶えたころになると、この本に対して異常な興奮を示しだした。夜寝る前に必ず僕はこれを読まされ、彼女は眠るどころか覚醒する。ある日、鼻息荒くページをめくり、とうとうページを破ってしまった。図書館職員としては黙って返却するわけにはいかず、すかさず書店へ注文した。車に乗ると大変だ。例えば高速道路では「一方通行」「自動車専用」「料金徴収所」「合流あり」「最高速度」「サービスエリア」と見えるものすべて言う。運転しているこっちだって「うんうん、そうかそうか」と身が引き締まる。今年の正月は、じいじばあばの前でも「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止!」「学校、幼稚園、保育所などあり!」と十八番を披露。「『などあり』という2歳児はおらん」と大うけ。おかげでギャラいやいやお年玉(子供貯金という名の家計補助)を大量摂取することに成功した。図書館の本を破損した甲斐はあったかも!?
 
「変則勤務シフト作成からの開放?」 尼崎市立北図書館 横山弘行
尼崎市立北図書館の奉仕担当係長として勤務して、早9か月になります。
当初、アウトソーシング導入の絡みで図書館勤務を命じられたと聞いていましたが、異動初日からデスクワークの傍ら、あたかも専門職員であるかのような顔をしてカウンター業務に立ち、また、レファレンス業務にも従事しています。
しかしながら、いまだに一番苦慮しているのは、休暇や出張、職員間での勤務交代等による勤務シフトの変更を作成することです。職員は、嘱託や再雇用を含め計14名、この限られた人数を早出、通常、遅出の勤務体制に振り分け、さらに、時間単位で貸出・返却、配架、レファレンス業務に再分割しています。
当然のことながら、平等にデスクワークができる時間も確保してあげねばならず、館長や庶務担当も駆り出さないと、この変則シフトは組めません。
こんな苦労も、新年度から導入予定の図書館業務の一部民営化により開放されそうです。今後はこの民営化で想定される新たな難問に全力投球していきますので、職場の皆さん、ご協力のほどお願いします。
 
平成15年度兵庫県図書館協会第1回研究集会報告
「公共図書館における著作権問題―著作権法見直しの動向―」
平成15年10月24日、伊丹市立総合教育センターにおいて、大阪市立大学学術情報総合センター教授の北克一氏を講師に招き、標記テーマにより第1回研究集会が開催された。県内各図書館から28名の参加があった。
講義では、はじめに「わが国における著作権政策の知的財産戦略推進のための小委員会設置による施策検討について」の説明があり、政府の知的財産戦略大綱及び知的財産基本法を踏まえて、平成12年に著作権等管理事業法が成立し、法的な基盤整備の流れがあるとのことであった。
続いて、文化審議会著作権分科会の審議経過報告について、映画の著作物の保護期間が現在の50年から70年に延長されること、教育の情報化等に対応するため、コンピータ教室等での児童生徒等によるコピーや、インターネット試験での試験問題の送信、遠隔授業での教材の送信など、例外的な無許諾利用の範囲が拡大されるとの説明があった。 
さらには、図書館関係での著作権法改正の方向で今後の動向に注目すべき事項についてと、図書館サービスと法改正動向の主要な課題については、貸出に係る報酬請求権の付与や、公貸権制度の導入における問題点、映画の著作物に係る上映権の権利制限規定の撤廃、複写サービスの問題点について説明があった。
また、著作権法という法制度のポイントと問題については、知的所有権諸法と著作権法の関係、著作権法と図書館法の方向性の問題などについて説明された。
公共図書館における著作権問題は、参加者にはとても身近で現実的なものであり、関心の高さから講義終了後も質問が多くされ、今後の実務遂行のうえで大いに参考になる研究集会であった。
(伊丹市立図書館 本谷外志)
 
第89回全国図書館大会報告  「創めよう!図書館の世紀―知・人・夢作り―」
11月27日・28日の2日間、静岡県静岡市において全国から図書館関係者、図書館に関心のある約1800名の参加のもと開催されました。これからの図書館はどうあるべきか、進化の方向を見出していくという趣旨で、基調報告・事例発表・研究討議が行われました。
基調報告では、21世紀の大きな課題である少子高齢化・高度情報化・地方分権化等に対応していくため、各地での取り組みの紹介と図書館の今後に求められていることについて提言がありました。2日目には11の各分科会の中で、より具体的にビジネス支援・情報提供支援・子ども支援等についての事例発表および研究討議が行われました。児童・青少年サービスの分科会は、"子どもたちの未来のために"というテーマのもと、静岡県で親子読書運動を続けてこられた児童文学作家、清水達也氏の基調講演ではじまり、さらに2つの分散会の中で総合的な学習への支援、読み聞かせとブックトークについて話し合われました。
近年、図書館界では「2005年の図書館像」「Lプラン21」等、『市民の図書館』の枠を超えたサービスが提案されています。図書館を巡る状況はますます厳しく、合併、委託、著作権など解決を迫られている問題も数多くありますが、今回の大会に参加して、時代と共に住民や利用者のニーズにあった、課題解決・支援型図書館としてのサービスの展開が求められていることを強く感じました。
(いちかわ図書館 小河小百合)
 
全国公共図書館研究集会 総合・経営部門
「多様なニーズに応える図書館経営のあり方―今後の図書館経営はどうあるべきか―」
9月25日・26日の両日、茨城県水戸市において全国
から約260名の参加のもと開催されました。従来の「奉仕部門」と「整理部門」を統合し「総合・経営部門」としてスタートする今回は、図書館の今日的課題の中から「NPO等への委託問題」「著作権問題」「低成長時代の新しいサービスの構想」の3点について協議が行われました。
筑波大学教授・薬袋秀樹氏の基調講演では、「多様なニーズに応える図書館のあり方」と題し、成人サービスの総合サービスモデルや、専門的情報サービスモデル等について紹介され、これからの図書館サービスの方法として、レファレンスサービスや情報サービスがいかに重要であるかが述べられました。
事例発表では、茨城県牛久市立中央図書館、東京都立中央図書館、横浜市中央図書館から、それぞれ翌日の3分科会に結びつく発表が行われました。
分科会では、「図書館運営とNPO」−茨城大学教授・帯刀治氏、「著作権を中心とした図書館界の動向について」−山梨英和大学教授・前園主計氏、「低成長時代における図書館サービスの発想」−慶応義塾大学教授・糸賀雅児氏をそれぞれ講師に迎えての研究協議が行われ、たいへん興味深いお話がうかがえました。
刻々と変化する図書館を取り巻く環境に対応し、図書館を発展させるには、「図書館側から打って出る」という積極的姿勢が重要であることが、全体を通して強く感じられ、非常に有意義な研究集会でした。
(姫路市立図書館白浜分館 梶原美紀)
 
全国公共図書館研究集会 サービス部門 
「図書館はどう生まれ変わるか―市町村合併と図書館サービスの再構築―」
10月9日・10日の2日間、鳥取県立図書館において開催された研究集会に参加しました。基調講演は「21世紀図書館の時代へ―市町村合併・情報化のもとで―」という題で、昭和女子大学教授の大串夏身先生のお話がありました。
市町村合併と図書館では、地方分権の推進、高齢化への対応、多様化する住民ニーズ、生活圏の広域化への対応、効率性の向上に努めるよう説明がありました。
また、合併をする図書館として、情報を収集し、図書館経営をするうえでの検討素材を集めるためにサービスの調査が必要であるということ、合併後の図書館経営やサービスビジョンを明らかにすることが大事と力説されました。
事例発表は、次の3図書館からありました。
南アルプス市立図書館では、合併後の図書館サービスについて、ネットワークシステムの統一、配送システムの充実、条例・規則の見直し、ブックスタート事業の開始等の合併目標を定め、検討してきた。
静岡市立中央図書館では合併するにあたり、「何のための合併か、図書館は何ができるのか」を、原点に返り図書館ビジョンを築きあげた。
鳥取県立図書館では地方分権の過程で必然的に起こる議論や現象をチャンスに変え、レベルアップするきっかけとしたいと話された。
この研究集会で、今後の図書館ビジョンを明確にしなければと考えさせられました。合併を控えている図書館はもちろんのこと、参加者にとって有意義な研究集会になりました。
(浜坂町立加藤文太郎記念図書館 西川茂代)
 
近畿公共図書館協議会研究集会 「新たな図書館サービスを育む」
平成15年もあとわずかという12月18日、神戸市総合教育センターにおいて、平成15年度近畿公共図書館協議会研究集会を開催しました。
今回は、児童奉仕部門を兼ね、「新たな図書館サービスを育む」をテーマとして、講演、事例発表、研究協議の構成で進められました。講演は、「トランジット時代の図書館運営 感性あふれる読書人を育むために」と題し、加古川市在住の作家である玉岡かおる氏にお願いしました。玉岡先生の、読書の喜び・楽しみをたくさんの人に伝えたいとの熱い想いが参加者の心に届いた講演となりました。
午後からは、和泉市立和泉図書館から「和泉市における子どもの読書活動推進計画づくり」と京都市中央図書館から「公共図書館と学校図書館の融合」についての2つの事例発表がありました。子どもの読書活動の推進計画については、各自治体で現在進められているところであり、研究協議においても具体的な質問が寄せられました。また、公共図書館と学校図書館が融合した図書館現場というのはあまり例がなく、参加者の関心を集めました。
年末のあわただしい時期にもかかわらず、147人の参加者を集め、盛況な研究集会となりました。
(神戸市立中央図書館 小倉さつき)
 
平成15年度兵庫県公共図書館調査(付帯調査)の結果を表にしました。(第2回)
(加盟館93館を対象に調査しましたが、回答のあった館の数字のみあげています)

<宅配サービス>(実施23館)
@対象
対象者 障害者(a) 高齢者(b) その他(c)
館数 20館 9館 5館(院内学級、来館困難者)
※aとbの併用実施は8館
※aからcの併用実施は3館
A担当者 
担当者 職員 ボランティア等 その他
館数 14館 4館 6館(3sまでは郵送、宅配業者)
B費用負担(回答10館)
負担者 図書館のみ 利用者のみ 図書館&利用者 図書館&その他
館数 5 1 3 1
 
協会からのお知らせ

平成16年度大会予定
○文科省・図書館地区別研修(近畿地区)
担当:兵庫県立図書館
日程:平成17年2月1日〜4日(予定)
会場:兵庫県立図書館、神戸市立中央図書館等

県内の図書館開館予定
・中町立図書館(新設・既存施設の改築)3月1日
・伊丹市立図書館北分館(新設)4月―支所、児童学習センターとの複合施設
・安富町立図書館(新設)6月中―保健福祉との複合施設
・福崎町(新設)平成17年7月
※次年度は役員・委員の改選となりますので各地区ごとに推薦方よろしくお願いします。
 
兵庫県図書館協会報 no.75 平成16年2月1日
編集・発行:兵庫県図書館協会
〒673‐8533 明石市明石公園1‐27 兵庫県立図書館内
Tel 078-918-3366 Fax 078-913-9229
E-mail: hyotokyo@library.pref.hyogo.jp