兵庫県図書館協会報 No.77 (2004.11.1)
目次
「開館30周年を迎えて」兵庫県立図書館次長  板東和司
図書館勤続30周年の方々の目・耳・心・手
○「本・ひと・出会い」高砂市立図書館 登 智恵子
○「はじめての仕事」神戸市立中央図書館 三好 正一
○「図書館と私」神戸市立三宮図書館 白瀧 香魚子
○「図書館と私、30年」兵庫県立図書館 豊田千代子
☆新規加入館紹介☆
"やすとしょ"って呼ばれています。
安富町立図書館 志水 千尋
☆特色ある図書館紹介☆
海に臨む、開かれた図書室
加古川海洋文化センター所長 臼井 信夫
《西宮発》
利用者からの"ちょっといいお話"
協会からのお知らせ

開館30周年を迎えて 兵庫県立図書館次長  板東和司

今年は例年にない猛暑で真夏日が続き、地震や台風が相次ぐ異常気象や異変が目立った年であった。一方、明るい話題としては、メジャーリーグでイチロー選手が新記録を達成したり、またアテネオリンピックで日本選手が大活躍したりする年でもあった。そのような中、10月1日に県立図書館は30周年を迎えた。

県立図書館にお世話になって2年半、30周年記念事業をどのように進めていくかが、ずっと気にかかっていた。図書館の置かれた厳しい現状がわかるにつけ、図書館関係者の方々から30周年の節目として明るく楽しい記念行事だったと受けとめてもらえるようにできたらと、30周年記念式典及び記念講演を実施することに決定した。式典は、平成16年9月16日に開催し、盛会のうちに新たな飛躍を誓って無事終えた。

式典では館長と教育長から、県立図書館がこれまで果たしてきた役割や今後の方向性について、力強いあいさつがあった。何よりうれしかったのは、この記念行事をすべての職員とボランティアの方が参加し、式典を挙行できたことだ。会場への導線に若干問題があるところを多くの職員がJR明石駅から案内に立ってくれた。会場入口の受付には、ボランティアの方にお世話になった。記念式典の最初のビデオ「兵庫県立図書館思い出のアルバム」に始まり、記念講演では河合雅雄先生に「想像力と創造力−読書が育む力−」と題して、幼い頃からのご自身の本との思い出を交えながら、感動的な講演をしてもらった。式典を通した記録についても、「30周年記念式典記録ビデオ」として、当館のボランティアの方の善意で、すばらしい作品を仕上げていただいた。すべての方々に支えられ、実り多い行事となったことを感謝したい。

さて、問題はこの30周年を節目とする新たな飛躍
である。県立図書館は「図書館の図書館」としての役割を担いながらここまで歩んできた。これまでの様々な努力の成果は、落ち着いて調べごとのできる静かな雰囲気の図書館となって利用者に定着している。現有の公共図書館の中でもユニークな運営形態の図書館といえるかもしれない。利用者の方からはこの雰囲気を大事にしてほしいとの声は強い。しかし、「より県民に身近な図書館」となるためには、もっと幅広く県民の方々に利活用していただくための更なる工夫とPRが必要である。

インターネットの急速な進展による高速化・多様化への対応、子ども読書活動推進のための基盤整備、施設の質的転換への対応など枚挙にいとまがない。そして、一番難しいのが市町図書館や利用者のニーズに迅速に応えることである。毎年実施する利用者アンケートにもさまざまな意見が出てくる。できる限り応えたいと思う。難しくとも皆で考え議論して、少しでも前進できるよう努力しなければならない。これからの図書館は県民の後押しが何よりも必要とされると思うからだ。

この原稿を書いている途中に、夕刊が届いた。1面トップにイチロー選手が踊っている。イチロー選手はカウントダウンに入ったときに、「僕は記録とはずっと付き合っていかなきゃいけない」とコメントしていた。ひとつの記録に甘んずることなく精進する姿勢は見事と言うほかない。兵庫県立図書館もこれまでの実績を序章として、常に利用者のニーズに沿ったサービスに努め、情報拠点施設としての役割を果たし続けることで満足を得ていきたいものである。

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図書館勤続30周年の方々の目・耳・心・手
「本・ひと・出会い」 高砂市立図書館 登 智恵子
図書館に配属されて、31年という歳月がたちました。この間、たくさんの人との出会いがありました。新任の頃には、館長及び先輩職員の方々をはじめ、県立ならびに他館の司書の方々の探求熱心な姿に刺激を受け、読書会の熱心な会員の方々、おはなし会では、それを楽しみに待っていてくれる常連の子どもたち、そして、なによりもカウンターでの利用者の方々とのふれあいがありました。何気ない会話がなごやかな時を与えてくれ、その中で新たな本との出会いが生まれたりしました。今思うと、本当に充実していた時期であったと思います。

現在は図書の受入を担当していますので、カウンターには週に2・3日しか業務につきませんが、図書館サービスのもっとも大切なことは、「本とひととを結びつけること」これに尽きると思います。利用者が何を求めているのか、それに対して司書はどんな手助けができるのか。もう一度、初心にかえり頑張ってみたいと思います。

「はじめての仕事」 神戸市立中央図書館 三好 正一
図書館の仕事に就いて30年目に、はじめてレファレンスを担当する部署に配属になった。係名は相談係。これまで地域図書館のカウンターで受けてきた簡易な質問ではなく、幅広くかなり深くまで調べなければ利用者の満足を得られない質問が多い。司書の専門性を常に要求され、難しいけれど大変にやりがいのある仕事である。周知のことだが、神戸市立図書館のレファレンスサービスは、「古今東西・森羅万象、解らないことは何でも一応図書館へ御相談を」と市民に呼びかけ、日本の図書館史に一時代を画した。まだ『市民の図書館』などが出版される以前のことであり、電話によるレファレンスサービスの実施など、いかにして市民の中に図書館を根付かせるかに先輩たちは努力を傾けてきた。時代は移り、今図書館は新たな変革期にさしかかっている。勤めはじめた30年前と比較すれば、はるかに図書館は市民の中に浸透し期待もされている。しかし一方では、指定管理者制度など、官から民への移行が急速に行われようとしている。現在の図書館の何を変え、何を堅持するのか。生き残りの道はたいへん険しいが、その先に活路があると信じたい。

「図書館と私」 神戸市立三宮図書館 白瀧 香魚子
30年前のことです。私が勤務し始めたころの神戸市立中央図書館は、大きな書庫を持つ閉架式図書館でした。玄関には受付があり、必要資料は利用票に書いてもらって、係員がそれを見ながら、書庫から出納していました。館内は夏暑く、冬寒く、独特の匂いがありました。開架資料は囲われたスペースに置いてあり、駅の改札口よろしく番台上の職員の前を通っての出入りでした。そこには、広辞苑やら徒然草やら百科事典やら、学生が通常利用するに差し支えない資料が並んでいましたが、それは単にお口汚しでした。図書館の莫大な黄金は、奥に深く広がる書庫にひっそりと埋まっていて、望む人に利用されるのを静かに待っているような気がしました。資料から資料への旅には、目録を繰っては請求して、待たねばならず、いささか面倒なことでした。あれから図書館も、図書館を取り巻く環境も、随分様変わりしましたが、読書人の未知の資料へのときめきは変わらないと思います。

「図書館と私、30年」 兵庫県立図書館 豊田千代子
高校の図書室のお姉さんを振り出しに、県立、五色町立、県立と異動し、ふと気がつけばおばあちゃんになっていました。また世の中も情報化の進歩はとても早く、私が勤務を始めた頃は電算室という空調をした大きな部屋にコンピュータが置かれており、何か特別な人だけのもののように感じていましたが、今や私の机の上にもパソコンが置かれ、インターネットで様々な情報を居ながらに得ることができるようになりました。図書館でもIT化の波は押し寄せ、電子ブックや"ケータイ文庫"等の電子書籍やWebサイトを利用しての調査研究、メールによるレファレンスと、とてもついていけないという状況です。このように図書の形態のみならず図書館の有り様も変わりつつある時代を、館種の違う図書館でその都度カルチャーショックを受けながら、迷いながら選書に関わることが多くありました。つねに利用者に望まれているのは何かということを見失うことなく、硬くなり始めた身体と頭に刺激を与え、柔軟さを保つよう努めていきたいと思いつつ、安易なサプリに走るこの頃です。

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☆新規加入館紹介☆

"やすとしょ"って呼ばれています。 安富町立図書館 志水 千尋

「おいくらですか?」と、鞄から財布を取り出す小学生で始まった安富町立図書館は、6月20日に地域総合センター"ネスパルやすとみ"内にオープンしました。ここ安富町には書店がなく、また生涯学習の拠点の場を求める声も多く、蔵書数1万7千冊からのスタートと、小規模ではありますが、町民待望の図書館が生まれました。近くには小・中学校、診療所、郵便局やスーパーマーケットがあり、"ネスパルやすとみ"が複合施設であるため、毎日何らかの行事が行われ、多くの方々が来館し、会議・学習の場として利用しています。

「カードなんて高級なもん、よう使わん!」と、毎日お目当ての本の続きを読みに来る、おばあちゃん。ある日、その本が貸し出されたことにショックを受け、とうとう"高級"な利用者カードを持つことになりました。また、隣にいた中学生から平仮名の書き順を教わりながらリクエストを記入している5歳の男の子。

スタートしたばかりで、町民の期待に応えるにはまだまだ力不足で、近隣市町の図書館にも一方的にお世話になりっぱなしではありますが、図書館が生活の一部として、ふれあいの場として、皆さんに満足してもらえるよう努力し、日々成長していきたいと思っています。

開館時間 10:00 〜 18:00
休館日 月曜日・月末・祝日の翌日
所在地 〒671-2401 宍粟郡安富町安志1151
連絡先 Tel 0790-66-2975 Fax 0790-66-2976
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☆特色ある図書館紹介☆

海に臨む、開かれた図書室 加古川海洋文化センター所長 臼井 信夫

加古川海洋文化センターは、自然と文化を育んだ「海」をテーマに、学び・遊び・体験ができる海洋文化交流施設として、平成12年7月1日にオープンしました。

鉄筋コンクリート造2階建ての建物で、1階には幼児や児童を対象にした、船と海の展示室として「帆船アスレチック」「電子水族館」「海中潜望鏡」等があり、外には水深約30pの海水が入った「じゃぶじゃぶ池」があります。

2階にある図書室はガラス張りの部分が多くなっており、開放的な雰囲気の中、これらの施設で遊ぶ子どもたちを眺めつつ、書架を行き来される方も多いです。他にも、南向きのブラウジングコーナーから眺める海の景色も美しく、雑誌を片手に風景も楽しんでいただけます。

図書室の特色として、日本を含め太平洋を中心とした世界の海図約270枚、及び日本国内の地形図約2,050枚を揃えています。この他にも、一般図書、児童図書とともに、海洋に関する図書等を約5万冊所蔵しております。

のべ床面積約313uという小さな図書室ではありますが、加古川市内の3図書館(市立図書館・総合文化センター図書館・ウェルネスパーク図書館)と連携して、より多くの利用者のご希望にお応えできるよう努力しております。また、児童向けに毎月1回「おはなしのじかん」と題し、小学校低学年までを対象とした絵本の読み聞かせなどを行っております。

若い親子連れのご利用が多く、他の図書館に比べて多少にぎやかなところもありますが、少ない職員で多くの利用者の方々にご満足いただけるよう、職員一同力を合わせてがんばっていきたいと思います。

開館時間 (4月〜9月) 10:00 〜 20:00 (10月〜3月、日・祝) 10:00 〜 18:00
休館日 月曜日、第2水曜日
所在地 〒675-0136 加古川市別府町港町16
連絡先 Tel 0794-36-0940 Fax 0794-41-0051
E-mail kmcc tosho web@city.kakogawa.hyogo.jp
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《西宮発》
利用者からの"ちょっといいお話
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「今からお話会を始めま〜す!!」
毎年夏休みに開かれるお話会。この声がすると私はいつも真っ先にその声のもとへ向かったものだ。このお話会が、私と松本さんとの出会いだった。

確か小学校2、3年生の頃だったと思う。その年のお話会の内容は、夏の定番ともいえる怪談だった。そして、この本を読んでくれたのが松本さんだった。トトロのエプロンがとても印象的で、優しそうな人、というのが第一印象だった。松本さんは話がとても上手で、私はすっかり夢中になってしまった。本当は、怪談は嫌いだったのだが、恐怖心よりも続きを知りたい、という好奇心が勝ってしまった。結局私は一回も休むことなくお話会に参加したのだった。

その後、このお話会を通して、松本さんと言葉を交わすようになった。松本さんは幼い私から見れば、本のことなら何でも知っている「物知り博士」みたいな存在で、どんな本が面白いとか、自由研究にはこの本がおすすめとか、たくさんのことを教えてもらった。

その当時、私はまだ現在の祖父母の家に住んでいたわけではなく、夏休みなどの休暇に西宮に遊びに来ていた。だから松本さんと会うのも年に数回しかなかった。小学校5年生の秋にこっちに越してきてからは、小学校の図書室の方が近いということもあり、段々と行く回数が減り、次第に松本さんと会う回数が減ってしまった。そして、中学校は部活中心の生活で、図書館に行くのは半年に数回程度。高校の時は3年間で数える程になってしまった。

再会は突然だった。大学の入学試験も終わり、あとは結果を待つのみ、というある日、図書館でボランティアとして活動している母から、仕事を手伝ってほしいと頼まれ、図書館に行った。作業の手を休め、ふと顔を上げてみると、遠くの方に1人の女の人が目に入った。トトロのエプロンこそしていないものの、私にはそれが誰かすぐにわかった。母に「すぐ戻るから。」と言うやいなや、私はその人のもとへ駆け寄った。「松本さんですよね?」

実に10年ぶりの再会だった。松本さんは「毎年、休みのときにしか来ない子がいた。」と幼かった私を覚えていてくれた。とても嬉しかった。

今、私は大学で看護について学んでいる。看護学部はレポートも多く、文献を読んだり、調べたりするのに図書館を頻繁に活用している。つい先日も松本さんに頼んで、伊丹の図書館から本を借りてきてもらった。

松本さんとの出会いは、私と本との距離をぐんと近づけてくれた。そしてこんな素晴らしい再会を私にプレゼントしてくれた。そんなことを思いながら、今日も私は、いつ本を返しに図書館へ行こうかな、などと考えているのである。

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協会からのお知らせ
○兵庫県大学図書館協議会加盟各館「地域市民への公開状況」一覧表が同協議会のHPに公開されています。http://www.lib.kobe-u.ac.jp/AULH/
今後の研究集会の予定
○全国公共図書館研究集会
・総合・経営部門 鹿児島県鹿児島市1月27〜28日
・児童・青少年部門 福井県福井市 11月25〜26日

○近畿公共図書館協議会研究集会
「新しい地方自治と図書館経営」大阪市立中央図書館 平成17年1月13日

○兵庫県図書館協会研究集会

担当:宝塚市立図書館
担当:加古川市立図書館

○文科省・図書館地区別研修(近畿地区)
会場 明石市立文化博物館、サンピア明石、県立美術館・人と防災未来センター
2/1 講演「21世紀の図書館イメージ」 
2/2 「ブックトーク」の講義とワークショップ
2/3 講義「アジアでの図書館活動」、午後 は兵庫県立美術館ほかの施設見学
2/4 講義「図書館の今日的課題」「図書館サービスと著作権との関係について」
平成17年度大会等の開催予定
○全国図書館大会 茨城県 10月26〜28日

○全国公共図書館研究集会
・サービス部門 徳島県徳島市 10月6〜7日
・総合・経営部門 兵庫県神戸市 11月10〜11日
訂正のおねがい
会報76号(2004.8.1) 4p左上 二つ目の○平成16年度全国公共図書館協議会表彰 → 平成16年度兵庫県図書館協会表彰
編集・発行:兵庫県図書館協会
〒673‐8533 明石市明石公園1‐27  兵庫県立図書館内
Tel 078-918-3366 Fax 078-913-9229
E-mail: hyotokyo@library.pref.hyogo.jp
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